最終電車

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耳元に響いた声は、
自信なさげで情けなくて。

でも、私の気持ち、
分かってくれようとしてることが、嬉しい。


何から言っていいのか、分かんないけど・・・


「私は・・・
二人きりでいたかったの。
なのに・・・
信五は友達といる方が楽しそうで。
それに、みんな、
雪乃さんの味方だから。
信五の彼女として、
受け入れてもらえてなくて、
辛かった。
取り分けなんかしたら、
女子全員、ますます敵に回しちゃうから。
出来なかったのに。
あんな風に信五に言われちゃうし」


「雪乃の味方？て？
みんな、Aのこと、褒めとったやんけ。
なんでそんな風に思うんや？」


やっぱり信五は分かってない。

ガッチリした筋肉質な肩を押して、
腕から逃れる。

泣きたい気持ちを、ぐっとこらえた。


「なんで分かんないの？
雪乃さん、今でも信五が好きなの。
トイレでみんな言ってた。
私なんて都合の良い女なだけって。
雪乃さんのがずっと美人だし、
奪えるって」


告げ口、しちゃった。

こんなの、自分の流儀には反するけど。


「嘘やろ・・・」


信五のこの言葉は、
うせやろ、って、聞こえる。


いつもなら、うせって何？
どういう意味？って、

わざと、からかうのに。


生意気やって、
信五がデコピンした後、
必ずキスしてくれる。


だけど今は、
呆然としてる信五の次の言葉が怖くてたまらない。


「信じないならいいよ。
告げ口なんてして、最低だし。
でも私は・・・
信五にとって、
気まぐれに呼び出せば、
のこのこ大阪までやって来る、
都合の良い女なのかなって。
信五の方から会いに来てくれることなんて、
数える程しかなくて。
ずっと不安だった・・・」


「んなわけないやろが」


信五、焦って言って、
私の背中に腕を回しかけたけど、
やめちゃって。


「・・・すまん。
Aの気持ち、なんも分かってへんかった」


切なく押し出すように呟いた後。


泣き出しそうな目をして、私を見た。

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