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そんな人質みたいなことしないでくださいよ。
誤魔化してすり抜けたいところではあるが、なんというか「呼んでくれるまで離さない」という強い意志を感じている。なんか言っても「呼べばいいんよ」って離してくれなさそうな気配があるし。
ドSと呼ばれる川上さんのことだからたぶん面白がってるんだろうな、ウーン、勘弁してください…。
「でもほら…川上さん先輩ですし…上司ですし…」
とりあえずささやかな抵抗をしてみる。
抜け出せるとは思わないけど、今じゃなくて後でとか、いや後でってなったら時間ある限り拘束されそうで怖いが、時間をかければどうにか、呼べなくもないかな…？
「俺がいいって言ってるんやから」
一刀両断。
えぇ、えぇ、わかりました、呼びます、呼びますよ。一回だけですからね、と小さく断りを入れて息を吸い込む。
「か、かっ……」
「…」
「か、かわ、かわかみ、く………」
「……」
「川上く、ん……！！」
っぷは〜〜〜〜〜！！限界！！限界！！！
付き合いが半年とか一年ならまだ楽に呼べたと思うけど、一ヶ月ってちょっとキツくないですか。そういうミッションですか？
「いいよ、ありがと」
「あ、えっと、はい！それでは！」
オッケーを貰えた上に結構あっさり離してもらえたのでよく分からない返事をしつつ逃げるように持ち場へ走る。今の返事を文にしたらきっと「(？)」が末尾に着いていることだろう。
「おはようござ…あれ」
既にいるだろうと思っていた須貝さんはまだ来ていなかった。今日は朝からいるって聞いたから来てると思ったけど…何か予定でも入ったのだろうか？
まあ私がどうこうできる立場でもなんでもないので、気にせずに記事のあれこれを決めることにしよう。
結局、須貝さんがやって来たのは昼過ぎだった。
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