Ψ後の晩餐5

第201χ ページ22

《もう20年近く一緒にいるのに仲のいい夫婦だな全く……》

｢ふふ、いい事じゃん！羨ましいよ｣

《お互いプレゼントの予算で自分の欲しい品を買えばいいものを……》

｢そういう事じゃないんだよ斉木くーん｣

《まぁいい。家も静かになったことだし僕は休日を満喫しよう》

｢私の存在無くなってない？！｣


2人でコーヒー片手にソファに腰をかけた


《さて……何をするか……》

｢映画は？観たくない？｣

《借りに行くのが面倒だな》

｢家にないの？DVD｣


……そうだ！
前に近所のビデオ屋が潰れた時ワゴンセールのB級映画を買い占めてきたんだった


立ち上がりクローゼットに向かうと、Aさんも後を着いてきた


《確かこのクローゼットに大量に……》

｢お！あるんだ｣

《おわっ？！》
｢ぎゃあああああ！！バラバラ死体〜！！｣


クローゼットを開けると、等身大の2体の父がバラバラになってしまってあった

隣で腰が抜けて座り込んだAさんの腕を引っ張り立たせて、再度この気持ち悪いマネキンに目を向けた


《これがさっき言ってた去年の誕生日プレゼントか！気持ち悪っ！僕じゃなかったら心停止してるぞ全く》

｢腰が抜けただけの私は斉木くんの次に強いですか……｣


？！あれ？じゃあここにあった僕の映画は……？


｢ぎゃあああ斉木くんポンポン投げないで怖いよ〜！！｣


……ない……
ないぞ！

《す……捨てられた……！！こんなゴミを置く為に……》

｢ゴミて…………｣


そ……そんな……
こんな気色悪い物体を置くために……
僕の映画コレクションが……


《こんなゴミを置く為に……！》

｢ゴミはやめよっか斉木くん｣


前回がこんなんじゃ今日も何買ってくるかわかったもんじゃないな……
ちょっと視てみるか


まずは父からと千里眼をした


｢ぅわっ？！いきなり千里眼は慣れない……｣


父はデカいクマのぬいぐるみを買おうとしていた
値段も28万と可愛くない


｢ねーねー何視えるの？｣

《父さんがデカいクマのぬいぐるみを買おうとしている》

｢えーっ！センス良い！！いいな〜｣

《どこがだ！どこに置くつもりだこんなデカいやつ》

｢そ、そっか……｣


結局、父は昨日下ろした30万をその日に自分の趣味に使い困り果てていた

バカめ


次は一応母さんの方も視てみるか

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