Ψ後の晩餐4

第140χ ページ10

私がいてもいなくてもこうなってたんだろうな

それなら来ない方が良かったんじゃ…………


｢僕、サイダーマン2号とピーチTガールの所に行ってくる！！｣

｢あ、うん。いってらっしゃい！｣


ゆうたくんも行っちゃった……

……私だって斉木くんに抱き着いたことはあった
抱きついたというか、突進したというか……

裾を掴んだり、お化け屋敷で腕を組んだことだってある
でもそれらはどこか1歩引いていた
自分に自信が無いからだ

心美ちゃんみたく、可愛かったらあんな風に堂々と抱きついたりできたんだろうな
甘えた抱きつき方が出来たんだろうな

…………羨ましいな……


盛り上がる客席の中で、1人ぽつんと取り残された気がした
私という存在が恥ずかしい


心美ちゃんが斉木くんに抱きついた

たったそれだけの事


でも自分に自信が無い私には、到底できっこない事だって改めて思い知らされた

2人とも高嶺の花の様な気がする


…………帰ろ





───────






さっきからガヤガヤする客席の心の声の中で、"帰ろ"と言う言葉が聞こえた

Aさんの声のような気がするな
千里眼で探そう


｢え？！斉木？！目どうしたの？！｣


……いた
ほんとに帰ってるじゃないか
なぜ今急に……
とにかくここにいたら客席の声がうるさくてテレパシーに集中できない
どっかで1人になりたいな……何か手は……


『えーこれより、サイダーマン羅夢音の写真撮影会が行われます！写真を撮りたい方はあちらにお並び下さい』


お、ちょうどいいじゃないか

ゆうたに列に並んでこいと合図した


｢わぁ！凄い！ピーチTガール、一緒に行こう！！｣

｢えっ？！凄い行列じゃない……！！｣


子供が並んでいる為、照橋さんの魅力は効かない
よって順番を譲られることは無い
この行列は並ぶしかないな


頼んだぞゆうた


｢えっ？！ちょっと斉木！？どこ行くの？！｣

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