Ψ後の晩餐

第9χ ページ9

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このコーヒーゼリー、嫌いじゃない


｢で、ねぇちゃんはその彼氏とやり直すんか？｣

｢いえ、もういいんです。あんな人また好きになっても同じ結果をうむだけですから。というかもう冷めました｣


妥当な判断だ


｢それがいいんじゃないか？そのスパイは、この漆黒の翼が始末しておいてやる｣

｢あ、ありがとうございます……｣

｢まあ元気出せよねぇちゃん｣

｢もう大丈夫です！今日、お友達も増えましたし｣


僕は友達になったつもりはない
これから毎日コーヒーゼリーを持ってきてくれるならなってやってもいいがな


｢なんか冷たいコーヒーゼリーと暖かい飲み物って変なもの出しちゃいましたね、すみません｣

｢そんな他人行儀な喋り方やめないか？盟友なんだ、普通に話そうぜ！｣

｢おーもうダチじゃねぇか｣

｢あ、すみませ、ええとごめん……ありがとう！ふふ｣


"学 良雄"……

微かな振動を感じて目を向ければ、Aさんの携帯画面にその名前と着信の文字
前の彼氏からか
Aさんは気づいていないようだな


ちょいちょい、と指で携帯の方を指してやると、彼女は画面に目を向け、一瞬驚いたあと困った顔をし始めた
まあ無理もない


｢お？これなんて読むんだ？｣

｢元カレか？｣

｢うん……｣

｢でねーのか？こえーならおれっちが出てやるよ｣

｢今の状況でお前が出たら余計ごちゃごちゃになるだろ！！｣

｢出なくていいの、無視無視……！｣


冷めたならなぜそんな苦笑いをしているんだ？
今すぐ電話に出てもう二度と会わない電話もしてくるなと言えばいい

向こうも向こうだ
散々傷つけた相手によく電話をかけてくるものだ

全く持って恋愛と言うのはわからない
理解に苦しむ


｢それならいいんだけどよー。んでこの名前なんて読むんだ？｣

｢学ぶに良いオスって書いてガク ヨシオだよ｣


言い方！
せめてオトコと言ってやれ


｢だっはっは！全然名前合って無くてウケんなー！｣

｢あはは！そうだね！｣



まぁ、もう笑ってるなら大丈夫だろう

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