Ψ後の晩餐

第39χ ページ39

｢それでね、今日Ψが乗ったあの人はお父さんなの。お父さんじゃないけどお父さん。今は家族みたいなもの！……って勝手に私が思ってるだけかもしれないけど……｣


それは違うぞ


｢お母さんも優しくて天然で可愛い人なんだよ。たまにお小遣いもくれるんだー｣


それは知らなかったな
そんな事してたのか母さん


｢斉木くんはね、学校は違うけど同じ歳なんだ。無口で無表情だけど友達がたくさんいるの！だいぶ前だけどプリ撮ったんだよ！…………これこれ！｣


燃堂たちとゲーセンに行った時のか


｢この人が斉木くん。今度会えるといいねぇ｣


それは僕だ
今ここに居るぞ


｢斉木くんは凄く優しくてね、私が熱出した日も看病してくれたんだ。ずっと本を読んでたんだけど、傍にいてくれたの。優しいでしょ？それで、ちょっと服掴んで止めちゃったり……｣


ボンっと顔が赤くなって、もごもごしだした

恥ずかしいなら喋らなくていい


｢あとはバレンタインの時とか……あ、あああ味見させてくれて……こ、これはΨにも話せない恥ずかし過ぎる！！！｣


だから恥ずかしいなら話すな





────────





そのまま話され続けて2時間近く経ったわけだが…………さすがにキツい
こうも話が尽きないものか
後半殆ど話は聞いていない
というか寝てた


｢そろそろご飯食べよーっと｣


やっと話が終わったか
キッチンに向かったAさんを見て、はぁ、とため息をついた


逃げることはもう殆ど諦めている
今は19時近く
夜寝るのを待って瞬間移動で帰る
さっき千里眼をしたが父はまだ涎をたらして寝ていたのであてにならない

Aさんはきっと明日僕の家に行方を聞きに来る

その時は父か母に夜中逃げ出したΨを僕が発見、家に連れて帰ると飼い主が探しに来て返したとでも伝えて貰おう

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