Ψ後の晩餐12

第533χ ページ41

『あっ……でもこれ凄いですよ！ああ……凄い凄い……！』


VRをつけて色々な方向を向く海藤くんだけが映り続け、その姿に私達の空気は重いままただただ時間だけが過ぎていく


『うわっ飛んだ！え〜……はぁ〜……あーこれ凄い！あっ、今何か……うわっ』


そして斉木くんの様にテレパシーが使えなくてもわかる
みんな思っていることは同じ


《見せねーのかよ……》


ほらね

ただただ海藤くんが感想を言っている姿が映るだけの何一つ面白くない動画がやっと終わり、今目の前で照れたように"どうだ？"と聞かれた


｢まぁ……まだ編集中だから少しアレだけど……｣


海藤くんがそこまで言うと、隣にいた窪谷須くんがガタリと席を立った


｢やめちまえ！！｣

｢？！｣


おぉ窪谷須くん……なんてストレートな言葉……


｢何だこりゃ？！"えー"とか"あー"とかばっか言ってよぉ？！｣

｢……い……いやそれはもう少し編集して……｣


タジタジとなる海藤くん
少し可哀想になってきてしまう程だ


｢編集でどうにかなるレベルじゃねーだろ！！終始グダグダだし商品の良さも全然伝わんねーし……｣


私たちが思っていることを全て吐き出してくれた……事には感謝してるけど、さすがに言い過ぎでは……とちょっと不安が上回る


｢こんなんでヨーツボァーになるだぁ？！人が本気でやってるモン舐めてんじゃねーぞ！！｣

《確かに窪谷須の言う通りだな》

(でもちょっと可哀想な感じしない？海藤くんが)


斉木くんは表情を変えず、チューチューとストローを吸い、ジュースを飲みながら"別に"と答えた

相変わらずクール……


｢……確かに……俺の考えが甘かったよ……｣


そう呟いた海藤くんはなんだか悲しそうだ


《さて話は終わりだな。帰るぞ》

(えっちょっ、斉木くんっ)


ジュースをコトッと置いた斉木くんは帰ろうと鞄を持つ動作に移る
それを見た私も慌てて鞄を持った


｢本当だぜ全く……さて……全員で1から練り直そうぜ……！｣

｢亜蓮……｣

《やんのかよ》


窪谷須くんと燃堂くんはどうやらやる気のようで、"全員で"と言われ私や斉木くんも巻き込まれてしまった

でも巻き込まれてしまっては仕方ない……


｢やりますか……！！｣

｢！！Aさん……！｣

《君もかよ》


だってなんかこのままじゃ可哀想だしね！

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