Ψ後の晩餐12

第527χ ページ31

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｢お母さんお邪魔しますよ〜っと……｣


今日は元々斉木家に来る予定で、"家の鍵を開けておくからいつでも入って"と言われ勝手に入ってきた
もはや田舎の近所のおばあちゃんである


リビングに入ると、お母さんはみりんを持っていた


｢まぁ大変！みりんが切れてるわ！……あら、Aちゃん入って入って！｣

｢僭越ながらもう入ってます……｣

｢お！Aちゃんこんにちは！入って入って！｣

｢こんにちは……せ、僭越ながらもう……入ってます……｣


"入って入って"と言われるといくら許可されてても申し訳なくなる……


｢パパ悪いんだけどみりん買ってきてくれない？｣

｢任せて！おーい楠雄ー！！｣

｢……くぅちゃんに行かすの？｣


斉木くん呼ぶんだ……



｢私が行きましょうか？｣

《やれやれ……自分で行けばいいだろ……》


いつも通り斉木くんがやれやれとやって来た


｢バカ！僕が行ったらママが寂しがっちゃうだろ！｣

｢そんな事ないけど……｣

｢ん？｣

｢……あら？｣

｢えっ……｣


3人で斉木くんを見ると、どこか違う
斉木くんの顔を手で挟み、思いっきり下に下げたような顔をしている


｢……お前……楠雄か……？｣

｢いやどう見ても違うじゃないですか｣

《父の癖に息子の区別もつかないのか》

｢斉木くん！！｣


奥から本物の斉木くんが現れ、偽物と並んだ
ということはこれはダブル……何故……


｢楠雄が2人いる！！｣

《バイロケーションだ》

｢まぁ可愛い！双子の兄弟みたい〜！私双子育てるの夢だったから嬉しいわ！や〜ん可愛い〜！｣


お母さんは自分の頬に両手を当て"可愛い可愛い"と喜んでいる


《可愛いかそれ？》
(可愛いのかなそれ？)


斉木くんは私たちを2階の自分の部屋へ手招くと、ドアの前で振り返り"それと……"と口を開いた


《2人だけじゃないぞ》

｢｢え？｣｣

｢え｣


お父さんとお母さんはまだ気づいていないようだ
私はついこの間も見たからしっかりと覚えている

2人だけじゃないぞということは……


《37人いる》


や、やっぱりぃい！
まただァァ！！

斉木くんがドアを開けると、37人のダブル軍団が一斉にこっちに振り返った


｢キモッ！！｣

｢斉木くんまたですかぁあっ……！｣


だいぶ前にお買い物行かせてたよね？！
またですか？！
ダブル苦手だよ〜……


《キモイとはなんだ。全てアンタらの息子と彼氏だぞ》


！！
……彼氏……
そうだ、みんな私の彼氏じゃないか……！


｢っていやキモイわっ！！｣

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