Ψ後の晩餐12

第509χ ページ9

2人が聞けば聞くほどAさんだとハッキリしてくる

高橋が嘘をついていないことや、大袈裟に話を盛っている訳では無いことは心を読んでいてわかる

まぁ、ただの勘違いだろう
付き合ってはいない……だろ


｢灰呂は今どこにいんだ？！｣

｢確かまだ朝練中だぞ｣


もう少ししたら戻ってくるな
まぁ周りのヤツが灰呂に詳しく聞くだろ

特に窪谷須

ピキってるの何とかしろ


｢やぁおはよう皆！なんだか騒がしいね、どうしたんだい？｣

｢｢灰呂！！｣｣


噂をすればだな

何も知らない灰呂は勢いよく迫ってくるみんなに驚き、ドウドウと手を動かす


｢待ってくれ皆！順番に聞くよ！｣

｢灰呂お前昨日女と一緒に帰ってたっつーのは本当か？！｣

｢……あぁ！本当だよ｣

｢｢なにぃいい？！｣｣

｢な、名前はなんと言う名前だ……？！｣

｢Aさんだよ！海藤くんなら知ってるよね！｣

｢｢なんだってぇえええ？！｣｣

｢……彼女か？！｣

｢うん！そうだよ、彼女だよ！｣

｢｢ぇえええ？！｣｣


一々うるさいぞ海藤と窪谷須
お前らは"付き合っている彼女か？"と聞いているんだろうが、灰呂は"あのAさんなのか？"という風に捉えている

ということは、付き合っている訳では無い

"灰呂が女と帰っている"という話が盛り上がり、"灰呂に彼女ができた"と噂になったのだろう

だが何故Aさんは隠してたんだ？



｢え？！僕が？！｣


その灰呂の驚いた声に、俯いて考えていた顔をあげた


｢なんだそういう事か……！付き合ってないよ！昨日の部活帰り、たまたま会ったAさんと途中まで一緒に帰っただけさ！｣

｢んだよ〜……そういう事かよ……｣

｢おいこら高橋ぃ！！｣

｢ひぃっ……！な、なんだよ言ってる事は間違ってねぇだろ……？！｣


"なんだ〜"とワラワラと野次馬が散ったところで、灰呂は僕に気づき近づいてきた


｢迷惑かけちゃったね、斉木くん｣


何故僕に言う？
そう思いながらも、フルフルと首を振った


｢Aさんと付き合っているのに、勘違いされたら嫌な気持ちになるよね。ほんとにすまない！！｣


は？！？！
な、え……


その灰呂のデカい声に、周りの奴らが固まった


｢｢えぇぇえええ？！？！｣｣

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