Ψ後の晩餐7

第276χ ページ1

｢Aちゃん！ちょっと来て｣
(いつまでAちゃんの手握ってんだよ店長め……)


まぁAさんが店長の手を握ってるんだけどな


｢あ、うん！またね店長！ありがとうございました！｣

｢はいはい｣


走ってきたAさんは、呑気に"なあに？"とニコニコして鳥束を見る


｢明日、俺と2人でデートしないッスか？｣

｢え？｣

｢デートッスよデート！｣

｢またまたー！みんなで行こうよ！｣

｢俺はAちゃんと2人で行きたいッス｣


いつもとは違う空気を察し、Aさんの表情は真面目になる


｢……いいよ｣

｢よっしゃあああ！！｣

｢ちょっ、A！いいの？！｣

｢……別に断る理由無いもん｣


確かにそうだな


｢明日楽しみッスね、Aちゃん｣

｢あ、うん……！｣


鳥束は僕の方を見てニヤリと笑う
(勝負は明日……！落として見せますよ……！)


｢うわぁ〜バチバチ見えるわ……鬼修羅場じゃね？ゲロヤバ……｣






───────





｢Aちゃん！お待たせッス！｣

｢あ、ううん！待ってないよ！でもなんで急に今日デートなの？｣

｢あ、いやぁ〜行きたかったからッスよ｣

｢そっかー｣


鳥束くんとはたくさん会うけど、2人で出かけるのは今日が初だ
斉木くんがいないと、結構緊張するかも


｢どこ行くか決まってるの？｣

｢んーまずは昼飯ッスかね｣

｢そうだね！何処がいい？｣

｢中華料理とかどッスか？｣

｢あ、うん。いいよ｣


中華料理か〜
あんまり得意じゃないんだよなぁ
相手が斉木くんだったら｢苦手なんだよね……｣って言えるんだけどなぁ


鳥束くんには素を出せると思ってたけど、斉木くんの前でだったから安心してたのかなー？

2人だと雰囲気悪くなること考えると中々素は出せない


｢昼飯の後、カラオケでも行きます？｣

｢うん！いいよ！……あ、それならカラオケでお昼ご飯食べようよ！｣

｢お、いいッスね〜！そうしましょっか！｣


中華料理回避
カラオケか〜密室やだな……
でも今はそんな変態な目で見られてるわけじゃないし……大丈夫か流石に


｢そのリング、外さないんスか？｣

｢え？なんで？｣

｢なーんか斉木さんとの婚約指輪みたいでやだなー｣

｢ええっ？！そんなんじゃないよー！｣


勢いでパッと外してしまった
斉木くんとの婚約指輪じゃないけど、斉木くんとの思い出が詰まったリング
そのリングを、勢いで外してしまっていいんだろうか

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