Ψ後の晩餐7

第288χ ページ13

───────



｢ねぇ行こうよー｣

《行かない》

｢せっかくのお正月だよ？｣

《写真が撮りたいなら1人で行けばいいだろ》

｢いーいーじゃーん｣



正月早々、初詣に行って写真を撮りたいと駄々をこねている人物が目の前に1人


こうなった理由
それはクリスマスから始まった

先月のクリスマスは珍しく平穏なクリスマスだった

と言ってもAさんは家に来て両親と盛大なクリスマスパーティーをしていたのだが、両親からクリスマスプレゼントでカメラを貰ったらしく、凄く嬉しがっていた

そのカメラを使いたくて初詣に行って写真を撮ろうとしつこく誘ってくるのだ


いつもならこのAさんの押しに負けて行くところだが今日は違う
今日は君より優先したい楽しみがあるのだ

それは……

今売れている人気作家の小説が今日手に入る！

人気で何処にも在庫が無く諦めていたが、父に調べて貰うとよくわからないサイトに一つだけ在庫が確認できた為、即購入してもらった

小説くらいは正月でも届くが、今日のいつ届くかはわからない

そして何よりも、今回はネタバレというネタバレを食らっていない
多少内容はわかってしまったものの、大事な部分は運良く聞いていないのだ

こんなこと初めてだ
それをAさんに邪魔されたくないし、Aさんに言えば親に受け取って貰えばいいと言うだろうがそういうことでは無い

神社に行けばネタバレを食らう可能性があるし、僕は1歩も外に出たくない


しかしこれをAさんに言ってしまうと、じゃあ読み終わるまで待つとか言われそうなのでAさんにも言えない

読み終わるまで待たれると集中できないしそれ以前に初詣に行きたくもないのだ


｢……ずっと考え事してる？あ、もしかして迷ってくれてるの？！｣


全然迷ってない


《僕は用事がある。1人で行ってこい》

｢用事ってなんの用事？｣



…………！！
今のは……照橋さんの心の声……！

こっちに来てるのか？！
くそ、めんどくさい……っ


インターホンの回線を切り、音を鳴らなくした


今来られると絶対初詣に行くことになるしこの3人なんて最悪としか言えない組み合わせじゃないか……っ！


｢ねぇなんの用《大賀さんはどうだ？！大賀さんなら時間あるかもしれないぞ。僕が家の前まで送ってやる》

｢……あー、まぁ……｣

第289χ→←第287χ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す