Ψ後の晩餐6

第235χ ページ8

｢斉木くん！私あっち探してくる！｣

《待て！》

｢え？｣

《一人で行くな。迷子になられるとめんどうだ》

｢うぅ……｣

《ここにいる人達の心の声に集中したが誰も巾着を盗んでそうなやつはいなかった。歩き回って探すしかないようだな》

｢……だよね……｣

《……！！財布にはいくら入ってる》

｢わからない…………おばあちゃんがお小遣いくれたんだけどポチ袋に入ってて、そのポチ袋開けずに財布にしまったから……｣

《チッ……前僕が財布を盗まれた時と同じ作戦でいこうとしたがだめか……仕方ない、探すぞ》

｢うん、ごめんね……｣


俯く私にため息をついた斉木くんは、"ほら"としゃがんでくれた


｢えっ……｣


実は慣れない下駄で足を痛め、歩くのがキツかった
でも今はそれどころじゃないし、斉木くんに余計な迷惑をかけたくないが故に黙っていた
復元も朝１回使ってもらってたし

斉木くん、気づいてくれてたんだ……


《早く乗れ》

｢あっ、うんっ……！気づいてくれてたの……？｣

《変な歩き方だったしな》

｢えっ！恥ずかしい！｣






───────






｢どこにも無い……｣


結局、どこを探しても見つからなかった
これ以上お父さん達を待たせる訳にもいかない
素直に言って謝るしかない
斉木くんもずっとおんぶしてくれてるし


｢ごめんね斉木くん……こんなに探してもらって見つからないなんて……｣

《……結構探したはずだが……おかしいな》

｢私最低だ……みんなに迷惑しかかけてないよ……やっぱり来なきゃ良かったね……ごめんね斉木くん……｣

《………………》


斉木くんはくるりと方向転換し、何故かひとけの無い場所へ入り込む

ここも探すのかな……？


《大きい声出すなよ》

｢えっ？……わぁっ……！！｣


斉木くんの体がふわりと浮き、高く高く空に上がる


｢わぁ〜〜っ……！！｣

《大きい声出すな。見つかるだろ》


辺り一面夜空になり、柔らかな風の中を進んでいく


｢凄い……！！星きれい……！！｣


人が小さく見える……！
ポツポツとした明かりもとても綺麗だ


《……来なくて良かったか？》

｢！！｣


私が悲観的になってるのを、気にしてくれたのかな


｢……んーん！来て良かった！すごく綺麗！ありがとう、斉木くん！！｣


その時、すぐ近くで花火が上がった


｢うわっ！！｣

《危ねっ》


私たちのあとを追いかけてくるように、色々な色の花火が次々と打ち上げられる

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