Ψ後の晩餐6

第248χ ページ21

そのまま進め、岸からはギリギリ見えないところで止めた


《ここら辺でいいだろ》

｢ここから先はあまり行かない方がいいね｣


微笑んだAさんは、体を横に向けて足を揃えて座った


｢斉木くんも隣座ってよ〜｣


同じ方向を向いて乗れば前に倒れるだろ
まぁ超能力でバランスはどうにかできるが


そんな事も考えていなさそうなAさんの隣に座る


｢夕日もうほとんど沈みかけてるね〜……でもさっきより近くに感じる……！｣

《あまり変わらないだろ》

｢ねぇ、今日たっくさんありがとう！｣

《随分大雑把なお礼だな》

｢だってたくさんしてもらった事あるんだもん！｣

《まとめた感が凄い》

｢じゃあ1個ずつ言《いや遠慮しとく》

｢むぅ……今日楽しかった？夏休み最後だけど｣

《別に楽しくない》

｢しょ、正直者…………私は楽しかったなぁ〜｣

《良かったな》

｢夏休み最後も斉木くんと一緒にいれた！一緒に来れて、ふ、2人で……夕日見れて最高だよ……っ！｣

《……良かったな》

｢他人事……｣


他人事？
そんな事思う訳ない

君のそういう言葉はいつも僕と2人の時にしか言わない


来て良かったと

そう思わせる不思議な言葉の超能力の様だな


君は恐ろしい人間だ
Aさん


｢斉木くんと2人でいる時いっつも幸せ。1番幸せ｣


こっちを見て微笑んだAさんは、夕日のせいか照れているのか、顔が赤い

ここまでデレてきたのは初めてだ

びっくりしたぞ


｢……あれ？なんかバナナボート浮いてない？｣

《浮いてない》

｢え、でも浮い《てない》


前回のクリスマスの時もそうだが、物がふわふわと浮く現象の理由がわかった今、バレる訳にはいかない
自分としても恥ずかしい限りだ


《もう戻るぞ》

｢あっ、そうだね！行こう！｣


降りてフロートの向きを変えると、何やら言いたそうに口をもごもごさせていた


《……なんだ？》

｢あっ……えと……っ……さ、斉木くん好き……！！｣

《……早くちゃんと座れ》

｢はぁい……あれ？やっぱり《浮いてない》


……はぁ……

ほんとに……参ったな

さすがの僕もお手上げだ

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