Ψ後の晩餐6

第244χ ページ17

｢やっと海の端に来た……！｣

｢意外と遠いなぁ〜｣

｢誰もいねぇな｣

｢確かねぇ……ここら辺だと思うんだけど｣

｢でも何もねぇぜ？｣

｢ちょっと私上登ってみる！｣


岩の上をよじ登るAさん
こんな野生的なAさんは初めて見るぞ


｢気ぃつけろよー？｣

｢何かあるか？｣

｢お？蟹だ。食えっかなぁ｣

｢うわー！景色いいー！何にもなーい！｣


岩の上でこっちに手を振りながら向かってきた


｢おーい！みんなもこっちにお…｣

｢｢消えたァァァ？！？！｣｣


消えたな


そのままひゅんと姿を消した


｢やべぇよいくぞ瞬！！｣

｢Aさん…！超能力者か？｣


そりゃ僕だ
だが消えることは出来ない
ひとつ上を行かれたな

まぁ消えた訳では無い
落ちたのだ

海藤と窪谷須、蟹を持った燃堂と岩の上へ登る


｢おーい！Aさーん！どこだー？！｣

｢Aー！！｣

｢2号ー！！｣

｢下下ー！！｣

｢｢｢え？｣｣｣


全員一斉に下を向く
そこには大して深くない穴があった


｢んだよびっくりしたぜぇ……｣

｢俺の手に捕まれAさん！｣

｢え？うんわかった！｣


伸ばした海藤の手に掴まるAさん


｢上げるぞぉ……っ！！｣

｢えいっ｣

｢えっ？ぉわぁっ？！｣


お前が引っ張られてどうする


｢瞬…お前鍛えろ……｣

｢だーっはっは！情けねぇなチビぃ！！｣

｢うっせーんだよ早く助けろよ！！｣

｢あ、ごめん私が引っ張ったから……でもね、ここに洞穴があるの！だからみんな降りてきて！｣

｢あ、ほんとだ｣

｢っしゃあっ｣

｢俺もっ｣


燃堂、窪谷須の順に飛び降り、最後に僕も飛び降りた

やれやれ、全く面倒なことを教えてくれたもんだなAさんの友達は


｢あっ……｣

｢どうした？｣

｢この先からすごい狭い……ハイハイで行かないと通れないし暗い……｣


全員で小さな穴を覗き込む


｢私が先頭で行くから、みんな着いてきてね！｣


いやその格好で先頭はどうだろう
きっと誰も着いてこないぞ


《君は1番後ろに行け》

(え？なんで？)

《自分で考えろ》


全く警戒心というものが１ミリも無い


僕が先に行く


｢お、斉木が先頭か｣

｢気ぃつけろよ｣


狭い空洞に入る
……フリをして瞬間移動

体感的に距離は長くないな


この穴が崩れることも無さそうだ
これなら何も起こらないだろう

第245χ→←第243χ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す