ばかじゃないの

理由 ページ29

side:Shr




｢…聡、どうしたんだよ？って、おい！聡！？｣



なんで、



なんで聡がいるんだ。



女の子に呼び出されたときは正直告白だってわかってた。



相手は話したこともなければ、俺は名前すら知らない。



ついて行こうか迷ったけど、…どうしてもこの子の気持ちを察したら、きちんと断ってあげないとって思った。




だから、もちろん断ったし、もう帰ろうとしていたのに。





聡を、追いかけないと。





｢…悪い、聡が心配だから俺っ、｣





『なんで！？勝利くん、なんでいつも聡くんのことばっかりなの？みんな言ってるんだよ？勝利くんが彼女つくらないのは、聡くんがいるからなんじゃないか、って…。』






そりゃ…だって。






｢…その通りだよ。俺、聡のことがすきなんだ。｣





もう誰にばらされたっていい。





俺の気持ちが変わることはないから。





『えっ……で、でも聡くんは男の子だよ？勝利くんだったらもっと可愛い女の子のほうが、』





｢男とか女とか、関係ある？俺がすきになった人がたまたま男だった。…それに聡って、みんなが知らないだけでめっちゃ可愛いから。｣






『…そう、なんだ。私勘違いしてた。勝利くんはクールでかっこよくてなんでもできる人なんだって。でも、違ったね…勝利くんも誰かのこと本気ですきで、空回ったりするんだ…。』






｢うん…だから俺の空回り応援してくんないかな。君の気持ちはすごい嬉しかったから、それだけはほんと。｣





人をすきになる気持ちは俺にも痛いほどわかる。




想いを伝える勇気だって。





だからこの子とは最後まで真摯に向き合わなければならないんだ。





『…もちろんだよ。ほら勝利くん、聡くんを追いかける理由があるんでしょ？』







｢…ありがとう。｣









理由なんて1つしかない。









お前のことが、すきだから。

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