【実.況者】俺らの幼馴染みが馬鹿すぎた件【最/俺】 (ページ19)

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#19 -フジ- ページ19

前回の続きです

アブさんの家を飛び出した私は、なぜか1人でいるのが嫌でフジくんのところに行くことにした。
前みたいなことが起きると嫌だから今日はちゃんとチャイムを鳴らした。

フ「A！？」

突然来た私に驚くフジくん。
1人で何してたんだろーね(笑)。

『泊めて』

私はフジくんの部屋にずかずかと入り込み、ベッドに座る。

フ「何で？」

リズムよく返事が返ってくる。

『…寂しい』

私が弱音を吐くなんて珍しい…というか、初めてだからこれでもかというくらいに目を開くフジくん。
私にだって寂しいときはあるよ…。

フ「ん」

フジくんは私の隣に座り、腕を広げてくれる。
数えきれないくらいフジくんに抱きしめられたけど、今日は少し青かった。

アブさんに告白されたのがどうとかじゃない。
我慢を続けてきた私が壊れてしまったのがたまたまそれと重なっただけだ。

いろんな考えが頭の中をぐるぐると回り、私はフジくんの前で涙を流した。

フ「A…？」

『ごめっ…。私、フジくんに迷惑かけてばっかで…』

フジくんのTシャツの色が変わっていく。
フジくんは嫌がることなく私を強く抱きしめた。

私はいつもフジくんの優しさに甘えてきてたんだ。
フジくんは私の変化にすぐに気づいてくれる。
それに甘えてたんだ。
フジくんのありがたみを今になってようやく気がつく。

『フジくんありがと』

恥ずかしくて早口になったけど、フジくんは「大丈夫。Aはそのままでいい」と言ってくれる。

私はその日泣き疲れてフジくんの腕の中で寝てしまっていた。

～フジside～

俺のかわいい幼馴染みが俺の前で弱気になった。
そこで流れた涙。
俺は美しいと思った。

ずっと一緒にいると“いまさら”って感じあるけど、Aといると飽きがない。
いつもいろんな顔を魅せてくれる。

Aのことを想ってる気持ちは誰にも負ける気がしない。

俺の腕の中で眠りに落ちた姫があまりにも愛しく、「かわいい…」と独り言が溢れる。
そして俺は姫の前髪を上げ、額にキスを落とした。
そのときAが笑った気がした。

「この顔誰かに見られてたまるか」俺はこいつの沼から脱け出せなくなっている。
…大好きだからいいんだけど。