#18 -アブ- ページ18
アブさんと実況を撮ることになりました。
私が「アブさんの脱出太郎が好き」って言ったら「脱出太郎一緒にやろー」って!
楽しみで思ってたより早くアブさんの家に着く。
ア「よぉ、Aちゃん」
『やっほ』
この前、タメ口を使えるくらい仲良くなった。
アブさん話しやすいんだよね。
案内してくれた部屋はきれいに整っていて、パソコンが既に起動してあった。
パソコンは脱出太郎の画面になっていた。
ア「じゃあ撮るか」
『うぃー』
実況を撮り始める。
アブさんの笑い声とか喋り方とか、いつも画面越しに聞いていただけあって、生で聞けたのは嬉しかった。
やっぱりアブさんは慣れているだけあって、謎解きがどんどん進んでいく。
ゲームの神の私でさえ、ついていけなかった。
いや…私バカだから当然か。
そして、2時間かけて撮影が終了した。
ア「やっぱシエルちゃんおもしろいわ」
『もう動画撮り終えたんだから、シエルちゃん呼びやめてください』
アブさんは、ははっと笑って「Aちゃんかわいい」と言った。
ナチュラルにそういうこと言えちゃうアブさん。
…モテるんだろうな。
ア「あれ?Aちゃんって彼氏いるんだっけ?」
私はいつもキヨくんを扱うように殴ろうかと思ったが、アブさんは至って真顔だ。
普通に疑問だったのだろう。
『こんな私に彼氏がいると思いますか?』
ア「うん」
私は“いない”と素直に答えるのが嫌だったから、遠回しに言ったのにアブさんは気づいてくれない。
『いないんです!』
私は少しキレ気味に言う。
アブさんは笑ってくれるかなとか思ったけど、彼は笑うことなく真面目な顔でこう言った。
ア「じゃあ、俺候補で」
モテない私への慰めだろうか。
いいのに、気なんて使わなくても。
ア「俺は、本気だからね」
まじですか。
ネタとか、優しさじゃないの!?
『え…本気なんですか!?』
私は驚きすぎて声が大きくなる。
ア「本気だよ」
私は20歳過ぎてから告白されたのが初だったため、気まずくて気がついたらアブさんの家をダッシュで飛び出ていた。
続く
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作者名:紫燕-sien- | 作成日時:2019年11月28日 12時