#07 -全身組- ページ7
前回の続き
キヨくんとは他愛のない会話で盛り上がり、気がつけばレトルト様の家に着いていた。
レトルト様の家のチャイムを鳴らすと、マスク無しのレトルト様が出てきた。
素直に“イケメン”だって思った。
普段もマスク外せばいいのに…。
いや、私のレトルト様のイケメンフェイスは私だけが拝んでいいものだ。
レトルト様は私を家に上げてくれて、そこで初めて会話した。
そのとき、私を見た第一声が“かわいい”だった。
レトルト様が私のこと“かわいい”って言ってくれたっ…!
嗚呼…私はもう死んでもいい。
『キヨくん!レトルト様が私のことかわいいって!』
キ「よかったじゃん」
キヨくんが丸い…!
え、kyrtとかないよね((殴
それはなんか萌えるけど…。
レ「えっと…Aちゃんやっけ?」
『はぁっ!レトルト様がAちゃんって言ってくれたぁ!』
キ「お前はもう病気だ」
キヨくんドン引き。
仕方ないじゃん!目の前に神様がいるんだよ!?
レ「Aちゃんさぁ、俺のこともっと気安く呼んでくれてええからな?」
『えっ…!?いやいやいや…レトルト様は私の神様なので、そんな滅相もない…』
キ「レトさん、“様”ってキャラじゃねぇしな」
レトルト様はレトルト“様”だよっ!
キヨくんなんかより、レトルト様のが絶対いいからっ!
レ「俺が嫌やから…レトさんとか、レトルトとかって呼んで欲しいわ」
レトルト様は苦笑しながらそう言う。
あ…“レトルト様”って呼ばれるの嫌なんだ。
『じゃあ、レトさんで…』
レ「ん。おけ!」
それからしばらくレトさんと会話を続け、「敬語禁止」「様付け禁止」「俺らは友達」この3つを頭に植え付けられた。
その後レトさんとLINEを交換し、また会う約束をした。
キヨくんとの帰り道。
キ「Aさぁ、レトさんのこと好きすぎない?」
『うん。大好きだよ』
キ「俺ちょっと嫉妬したんだけど」
キヨくんは明るくなりかけている空に目を向けながら言う。
そんなキヨくんが愛しかった。
『キヨくんかわいい』
思わず口に出てしまう。
今までキヨくんのプライドに触れないように“かわいい”なんて絶対言わなかったのに…。
キ「A…」
キヨくんは高い身長を私と同じ目線になるまで屈めて、顔を近づけてきた。
まだ人通りの少ない道でキヨくんとキスをした。
キ「俺のことかわいいって言ったお仕置き」
『はぁ?』
友達以上恋人未満。
20年くらいの関係の私達。
キヨくんと付き合ったなんて1度もない。
なのに…満更でもない私がいた。
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作者名:紫燕-sien- | 作成日時:2019年11月28日 12時