【最俺】激甘イケメンの攻略法【フジ】

続・番外編 ページ32

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手を引かれあっという間に
コントローラーを渡される



「え、でも、俺全然上手くないし」


『大丈夫ですよ！勝ち負けじゃないですよ！』



いや、勝ち負けでしょ・・・



ヒラに視線で助けを求めるが
楽しそうにニコニコしているだけだ



『さぁ、どのキャラにしますか？』


ニコニコと話しかけてくる彼女
少し癖っ毛の栗色の髪が綺麗で見惚れてしまう

ぼーっと彼女を眺めていると隣のコーナーから
大きな声が聞こえハッとする



「コラ！A！」


『あ！川上さんっ！』



どうやら彼女は隣のコーナーのスタッフさんらしく
ゲームが好きすぎて仕事放棄して
ここで遊んでいたと言う



『あはは、は・・・す、すいません』


上司だろうか注意して来た人に謝り
その場を片付ける


「プロゲーマーか何かですか？」


なんとなく気まずい雰囲気に話を振る


『いえ、プログラマーです！
もともとはゲーマーだったんですけどね
好きが高じて仕事にしちゃいました』


「そう言うのってなんか尊敬します
俺もゲームは好きですけどただの趣味程度だし
これと言って好きなものもないし・・・」


ゲーム実況も趣味の延長線上
永遠にはやって行けないと心の中で割り切っている



『私もね、最初はクリエイター希望だったんですけどね
人生経験も発想力もなくて挫折したんです
それでプログラマーになって・・・
偉そうに言ってるけど結局他の道を探す勇気がなかったんです
でも後悔はしてません、
私が作ったゲームがみんなに笑顔を与えてるって
すごい事ですよね！』


嬉しそうに話す彼女の笑顔はすごく輝いていて
ピンと背筋伸ばし、迷いのない眼差しをしていた
その彼女の横顔は強く印象に残った


『あ、これ私の名刺です！
結構大手なんで見かけたらプレイしてみてください！』


そう言うと名刺を１枚取り出し両手で差し出して来た
受け取るとペコリと小さくお辞儀し
持場へ戻っていった



「・・・・・・」


「・・・・フジ」


「は！え？あぁ・・・」



ニヤニヤニヤニヤニヤニヤ・・・



「・・・・なに？」



「ふふふ、そっかー、フジがねー、ふーん」





淡い恋心を抱きつつ君を見ているしかできない
月日が経ち薄れていく不確かな想い
この恋心が動き出すのはもう少し先のお話







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