じゅうご ページ16
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「ここ?」
「うん」
私はそう言って玄関の前に立って鍵を探す。
「じゃ、僕はここで」
「え?上がらないの?」
「え?上がっていいの?」
すんなりと帰ろうとするヒラに私は「寄っていきなよ。お礼もしたいし」と続ける。
「それじゃ…お邪魔するね」
「うん」
私はそう言って鍵を開ける。
「どうそ」
「お邪魔しま〜す」
ヒラはそう言いながら私の家に入る。
「何も無いけど…」
「わ〜い!もりながの部屋だ〜!」
ヒラは嬉しそうに顔を綻ばせる。
「適当に座ってて。お茶出すね」
「ありがとう〜」
近くにあったイルカのぬいぐるみを抱きしめるヒラ。
………あざとい。
そんな事を思いながら私は冷蔵庫からお茶を出してコップに注ぎ、リビングに戻る。
「はい」
「ありがとう、もりなが」
「ヒラはさ、私の家に来るの何気に初めてだったよね」
「確かに〜」
「…今日はどうもありがとう」
「どったの?急に」
「いや…。ヒラに迷惑かけてばっかだな…って」
「かけてもいいよ…!」
やや私の言葉に被せながらヒラはそう言った。
「迷惑…、かけてもいいよ…!」
「ヒラ…」
「俺、そんなに頼りない?」
「ううん…!そんな事ない!」
「なら頼って?」
「うん。…そうする」
「よかった」
そう言ったヒラの瞳はどこか光がなかった。
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作者名:。(まる) | 作成日時:2019年11月24日 15時