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今から行っていい？って、大我先輩から連絡が来たのは慎太郎と別れてすぐのことだった。
いいよって返信したのは人肌が恋しかったから。私はやっぱり慎太郎の1番じゃ無いんだって現実を見たから。
浮かれて落ち込んで、気分はまるでジェットコースター。そんな私を見た大我先輩が、ほら見たことかと笑うことはもう目に見えていた。
｢バカだね｣
｢分かってますよ…でも、｣
｢好きなんでしょ？｣
｢…うん｣
ベットの中で何も纏っていない身体は汗ばんでいる。大我先輩の体温は私より少し低くて、身体を冷やすためにその体温に身を委ねる。
傷を舐めるように私の肌を慈しむ大我先輩の手のひらにうっとりした。そしてこのまま何もかも忘れてしまいたくなる。
慎太郎が好きな事実も。大我先輩は慰め合うだけの存在だってことも。
｢大我先輩は私を駄目にする｣
｢もっと駄目になんなよ｣
｢…無理｣
｢本当は甘えたいくせに｣
くすりと笑う大我先輩はやっぱり何もかも見透かしているよう。でも、そんな彼にも想う人が居て私はやっぱりセカンド。誰かの一番になんてなれやしないのだ。
｢ねえ……大我先輩は｣
｢うん？｣
｢……なんでもない｣
彼女とどうなんですか。って、聞けない。一度ちらりと聞いた大我先輩の恋人は既婚者だった。そんな女性とどんな気持ちで付き合っているのかなんて聞くのが怖い。
聞いてしまったら、大我先輩はきっとここから居なくなってしまう気がした。大我先輩と居ることが私にとっていい事じゃないのは分かってるけど、彼を失うことは怖いのだ。
ほんと、ずるい自分が嫌になる。
｢明日、仕事あるんですか？｣
｢ない。土曜日だし｣
｢そっか｣
｢何？どっか出掛けたい？｣
｢そういう訳では……｣
｢Aが車出すなら行ってもいいよ？｣
俺、ペーパーだし。って、大我先輩はモテるくせにそういう事なんだよね。普段懐かない猫が不意に擦り寄って来るような甘さが彼にはある。
私もずるいけど大我先輩もずるい。前に大我先輩は私と先輩は似てるって言ってたけど、きっと私たちが似てるのはこういうところ。
私たちはお互いのずるさに甘えているんだ。
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sail(プロフ) - 七七盛さん» コメントありがとうございます。大学生感が伝わっているの、とっても嬉しいです😌最後までよろしくお願いします🙇♂️ (2022年1月31日 9時) (
レス) id: 68c0c1ca67 (このIDを非表示/違反報告)
七七盛(プロフ) - 自然でテンポのいい会話にぐわっと吸い込まれる作品で、きゅんと癒しを作品からもらっております。季節の空気感とか大学生特有の感覚とかに引き込まれてとてもわくわく読ませていただいております。これからの展開を楽しみにしています。 (2022年1月22日 2時) (レス) id: 3ec5ecab0a (このIDを非表示/違反報告)
sail(プロフ) - pq__mlさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです。最後までお付き合いいただければ幸いです😌 (2021年12月9日 20時) (レス) id: 68c0c1ca67 (このIDを非表示/違反報告)
pq__ml(プロフ) - はじめまして。太宰治の斜陽、大好きなのでとても嬉しいです。楽しみにしております。 (2021年11月29日 5時) (レス) id: d249f25be0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sail
| 作者ホームページ：http://ma-no homepage
作成日時：2021年11月10日 15時
