ベイビー・ラブ (ページ43)

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ep.15 魔法のイヤリングページ43

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私は樹先輩の言葉にただただ頷くことしか出来なかった。

樹先輩の家にお泊まりをしたことはある。樹先輩がうちに泊まったことだってある。でも今日が今までと違うことは疎い私にもわかってた。

断らなかったってことはそーゆうこと。今日私、樹先輩とするんだ。

｢ここ｣

｢はい……っ｣

｢んな緊張すんなよA｣

｢だってぇ～…｣

｢いきなりとって食ったりしないっつの｣

いつの間にか普段の表情に戻った樹先輩が私の手を緩く握る。それだけで身体がビクリと震えてなんとく樹先輩から目を逸らしてしまう。

でもね、嫌じゃないの。嬉しいんだ。樹先輩が私も欲しいって思ってくれるのがすごく嬉しい。

いつだって私は少女漫画の主人公に憧れてて、好きな人に求められるってどんな気持ちかずっと考えてた。

その答えが分かったよ。想像よりもずっと胸がぎゅっとして、怖いような恥ずかしいようなそんな気持ち。幸せな、気持ちなんだ。

｢……樹先輩｣

｢どした？｣

｢キス……したいです｣

きっと樹先輩は私が首を横に振れば何もしないだろう。

チャラくていつも自信満々だけど、自分の意見を無理やり通したりは絶対にしない。カッコよくって優しい、そんな樹先輩だから好きになった。

だからね、初めては樹先輩にあげるよ。怖くないって言ったら嘘になるけど、樹先輩となら大丈夫だって思うから。

｢……いいの？｣

｢樹先輩なら、……いいよ｣

絡んだ指先に自分からも力を込めたら唇が重なった。樹先輩のリードに身を任せてベットに腰を下ろせば啄むようなキスが大人のキスに変わる。

リンゴジュースの味した。私に合わせて呑んでくれた甘酸っぱい子供の味。ああ、私はこの人に愛されてるなってすごく感じる。

｢A可愛すぎ｣

｢樹先輩は…ちょっとえっちな顔してる｣

｢それはアナタのせいでしょ｣

｢うん……嬉しい｣

ふへって笑えば樹先輩の目がすーって細められて、気付いた時には背中がベットに触れていた。羽のようなそれに身体を預けたら樹先輩の重みが私を覆う。

止めらんないよ。って、樹先輩が言った。じゃれてた時とは違う真剣な目が私を見つめる。

こくりと頷いたのは女の子の勇気。
私、今日大人になります。