ベイビー・ラブ (ページ40)

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ep.14 ハッピーバースデーページ40

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とうとう誕生日当日。

昨日はあんまり眠れなかった。緊張と期待と色んな気持ちが綯い交ぜになって、気付いたら朝になってた感じ。

でもね、朝になってみればそんなの関係なかったんだ。樹先輩と会ったら結局私は幸せな気持ちになるし、何してても楽しい。

行き先はまだ秘密って言った樹先輩の運転する車の中で寝不足による欠伸を噛み殺せば、赤信号で止まってる車の中で樹先輩が私の顔を覗き込む。眠いの？って、そんな甘い声で言うのは反則だ。

｢全然、大丈夫です…！｣

｢あくびしてたくせに？｣

｢してた……かな？｣

苦しい言い訳は、そんなん俺に通用しねぇよって笑った樹先輩に一蹴された。しかも、怒んないから寝とけばいーんじゃん？なんて言ってさ、樹先輩は私を甘やかす天才ですか。

樹先輩が女の子に優しいのは知ってるけど、これは彼女の特権だと思いたい。それってわがままかな？

｢寝るとかはもったいなくて出来ないです…！｣

｢もったいないの？｣

｢だって樹先輩とのデートだもん｣

｢なぁに、可愛い事言うじゃないの｣

ふはって吹き出した樹先輩が私の髪を優しく梳く。そしたら信号が青になって、ハンドルに手を戻した先輩が無理すんなよって笑うから心臓がうるさいほど音をたてた。

今日も改めて思ったけど、車を運転する樹先輩は宇宙一カッコイイ。眩しいからってかけてるサングラスもさり気なく繋がれた右手も全部が私をきゅんってさせる。

｢あの樹先輩、今日はどこに向かってるんですか？｣

｢ん～？秘密｣

｢えー、超気になる｣

｢んふふ、まあ俺に任せなさいよ｣

樹先輩は私の問いに薄く唇を引き上げるだけ。その仕草にもときめいちゃうんだから、恋は盲目ってまさに私のことみたい。

｢今日は特別な日だからな？｣

｢特別って……｣

｢ま、それは着いてからのお楽しみ｣

ニシシって笑った樹先輩と窓から差し込む日差しが眩しかった。繋がれた手にぎゅうっと力を込めれば、樹先輩も同じように握り返してくれる。

｢えへへ、樹先輩大好き｣

｢…俺もだよ｣

｢へ？｣

｢俺もAが好き｣

へへって笑った樹先輩の顔ならきっと何時間でも眺めてられるよ。
それくらい私は、樹先輩中毒なんだ。