ベイビー・ラブ (ページ27)

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｢Aにはジュース買ってきたよ～｣

｢子供扱いだ｣

｢じゃあ酒飲めんの？｣

｢……飲めないです｣

はい、じゃあお子様はジュースねって渡された炭酸飲料のペットボトル。文句を言いつつも北斗先輩の手にも缶チューハイ。

深夜の勉強会にカンパーイって、絶対勉強する気ない樹先輩の音頭で乾杯する。

｢なんで樹そんな酔ってんの｣

｢あのねぇ俺だって酔うことあるから｣

｢珍しいじゃん？｣

｢やー、バ先の先輩に捕まってたんよ｣

だからべろべろなのって樹先輩は私のことぎゅーってするから、流石に心臓がヤバくてちょっと距離を作れば逃げんなよって腕を引かれた。

えええ樹先輩って酔っ払うとこんな風になるの？全然知らなかったんだけどって、内心アセアセする。

｢樹、Aが死んでるから｣

｢やなの？｣

｢嫌っていうか…ドキドキし過ぎちゃうので……｣

離して？ってお願いしたら、可愛い！って余計強く抱き締められて本末転倒ってやつ。見かねた北斗先輩が樹先輩を引き剥がしてくれてようやく平和になった。

それからはトランプとか昔樹先輩が買ってきたという人生ゲームして3人で遊んだ。サークルでは樹先輩とも北斗先輩ともいっぱいお話するけど、こんな風に遊んだことはないからとっても新鮮。

そして丁度人生ゲームをやってる時に北斗先輩のスマホがブブブって鳴って、兄貴から電話だって北斗先輩が席を立った。

｢ふたりきりになっちゃったな｣

｢は、はい……｣

気を利かしてかなんなのか分かんないけど、北斗先輩の部屋で樹先輩とふたりっきり。さっきまで向かい合って座ってたはずの樹先輩が私のすぐ横に座る。

お前やっぱり可愛いよってさっきみたいに抱きしめられたら、樹先輩の匂いに満たされてクラクラした。

｢期待、しちゃいます……｣

｢したらいんじゃね？｣

｢樹先輩、本気ですか……？｣

｢うん……俺も本気｣

耳たぶを甘噛みして、樹先輩が言う。ひゃって声が漏れたら、お前ちょっとえろいなって恥ずかしい。

｢……好きです｣

｢おう｣

｢樹先輩、私……｣

言いかけた言葉は樹先輩の手のひらに塞がれた。続きは素面ん時にしてって言った樹先輩の顔が近づく。

手のひら越しのキス。
ファーストキスの味はまだ知らない。