ep.9 深夜の勉強会 ページ25
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22時。バイト終わりの帰り道。隣の北斗先輩は相変わらず無表情だけど、歩くペースはいつだって私に合わせてくれる。
「もーすぐテストですね、北斗先輩」
「ああ」
「私大学のテスト初めてなんでドキドキです〜」
Aヤバそうだもんなって酷い!まあ、確かに全然自信ないけど。だって講義って本当に眠いんだもん。半分寝ながらノートを取るのがやっとだ。
だからねきっと、そんな気持ちが顔に出てたんだと思う。図星かよって北斗先輩は小さく笑いながら、俺の過去問やろうか?って。
「え、いいんですか!」
「別に減るもんじゃないしな」
「超嬉しいです!神様ですか!」
「はいはいうるさい」
嬉しさのあまり歩きながらぴょこぴょこ跳ねたら、落ち着きなさいって北斗先輩に窘められた。
じゃあ俺んち経由で帰るでいい?って提案にブンブン首を縦に振れば、お前本当は小学生?って先輩は呆れ顔。
「や、だってマジでヤバかったんですもん」
「じゃあ単位取れたら俺のお陰だな」
「そりゃあもちろん……!」
なんでもしますよ北斗先輩って挙手をしたら、なんでもねえって先輩が目を細める。
お前のそーゆうことが心配になるんだよなあ?って、なんかデジャブ。樹先輩にも似たこと言われた気がする。
「ま、飲み物でも買ってくれたらいいよ」
「そんなんでいいんですかー?」
「いいんだよ」
つかなんでもするとかホイホイ言うんじゃないのって、ペちっておでこにデコピン。でも、全然痛くない。
この間、助けに来てくれた時も思ったけど、北斗先輩って本当に…
「……お兄ちゃんみたい」
「………は?」
なんでそんな面倒見いいんですか?って聞いても、今度は無視された。でもいいの。北斗先輩が優しいのは私が1番知ってるから。
あの後北斗先輩は本当に店長以外の人にはあの日のこと話さないでくれた。変な噂もないし、今もこーしてバイトが出来ているのは北斗先輩のお陰。
「北斗先輩が本当のお兄ちゃんだったらもっと甘えるのになあ」
「願い下げなんだけど?」
「え、ひどーい!絶対楽しいですよ!」
「騒がしいの間違いじゃない?」
こうしてわちゃわちゃ話しているうちに北斗先輩のアパート前に着いた。ちょっと待っててって言葉に頷けば、ふっと笑った北斗先輩はアパートの階段を駆け上がった。
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作者名:sail | 作者ホームページ:http://ma-no homepage
作成日時:2021年2月4日 17時