day.7 妹じゃなくて ページ43
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目が覚めたら、樹くんの腕の中に居た。
近くにあったスマホを確認したら、時刻は午前9時。寝たのは確か2時くらいだったから、まあまあ眠っていたみたい。
｢ん……Aちゃん…？｣
｢あ……起こしちゃいました？｣
｢いや？ちょい前から意識はあった｣
大きなあくびをした樹くんはまだまだ眠そうに大きな瞳を瞬かせる。今までに見たことの無い緩んだその仕草に、私は樹くんの彼女になったんだなって実感した。
｢もう起きる？｣
｢そう…ですね。手続きとかあるから早めに出たいし｣
｢空港まで送ってく｣
｢え……でも｣
｢俺が送りたいの｣
駄目？なんて、聞かれてしまえば首を横に振ることなんてできない。離れるの寂しくなっちゃうなって思うのは、昨日の私からしたらきっと贅沢な悩み。
自分が望んだ留学なんだから楽しみなはずなのにね。私ってば現金な人間だから、まだ行きたくないなって思っちゃう。
だから、このまま樹くんの部屋に居るのは危険だと思った。樹くんの匂いでいっぱいのこの部屋に居たら決心が付かなくなりそう。そう思って樹くんの腕の中から抜け出そうとした。
でも、それを阻むのもやっぱり樹くんで。
｢じゃあ、あの…私、一旦着替えてきますね｣
｢もう？｣
｢いや…別にまだ大丈夫ですけど｣
｢そしたら、もうちょいこーしてようぜ｣
｢…わ…っ｣
温い手のひらにベッドの中へ誘い込まれたら、嫌だなんて言えなかった。微かに昨夜の名残を感じさせるベッドは、恥ずかしいのに心地よくて、苦しいくらいに抱き締めてくる樹くんに身を委ねる。
｢向こう行ってもさ、…他の男に隙とか見せんなよ？｣
｢……うん。絶対しない｣
｢んで、Aちゃんが落ち着いたら声聞かせてな｣
｢時差あるよ……？｣
｢俺が合わせるから、スカイプ…？とかしようぜ｣
向こうとの連絡はそれがいいんだろ？って言った樹くんは、私が留学に行ったあとも連絡を取る手段を考えてくれてたみたいだった。
もうこれっきりだって思ってたのは私だけだったんだね。
｢遠恋って俺初めてだわ｣
｢樹くんも…よそ見とかしちゃ駄目ですよ？｣
｢するわけねーよ｣
俺がAちゃんのことどんくらい好きか分かる？だなんて。拗ねたように言う樹くんは、もうすっかり恋人の顔をしていた。
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sail(プロフ) - ゆらさん» そのように言って頂けてとても嬉しいです。これからの更新もよろしくお願いします！ (2020年12月9日 1時) (
レス) id: 68c0c1ca67 (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - この小説大好きです！更新楽しみにしてます！頑張ってください(^_^) (2020年12月8日 16時) (レス) id: 52075201ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sail
| 作者ホームページ：http://ma-no homepage
作成日時：2020年11月23日 20時
