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｢ね、ねぇ樹くん……｣
｢んー？｣
｢これ…めっちゃ怖いんですけど……！｣
｢だから言ったべ？怖いって｣
ドキドキの中で始まった映画は、開始数秒で残虐なシーンになり吊り橋効果なんてものは関係なく心臓が激しく動いていた。
すぐ血塗れになるし、お化けとか出るよりもサイコホラーって感じで余計に怖い。ほんとにマジで怖すぎる、この映画。
｢手、繋いであげよっか？｣
｢いいですそれは｣
｢じゃあ俺ちょっと飲み物取ってきていい？｣
｢駄目、行かないで…！｣
もうこれはわざと意地悪なことされてるの分かってたけど、樹くんに乗せられるまま樹くんの腕をホールドしてた。だって、今は1人は無理だし怖いし。
でも、抱き着いたら抱き着いたでやばい気がする。樹くんの体温と樹くんの香水の匂いが濃厚すぎてクラクラした。
｢Aちゃん大胆｣
｢……樹くんのせいじゃん｣
｢バレた？｣
｢……意地悪｣
｢ごめんて。ビビるAちゃんが可愛いからつい｣
｢……嘘｣
｢なんで嘘なのよ｣
マジだよ？って言った樹くんは、抱き着く私からやんわりと腕を抜きその代わりに空いた腕で私を抱き込む。膝の間に座らされて、樹くんの手がお腹に回った時には心臓がとうとう止まってしまうかと思った。
｢ちょ、っ…樹くん近い！｣
｢怖いんでしょ？これなら大丈夫じゃん｣
｢だ、けど……｣
｢手も足も冷えてるし、あっためたげる｣
ほらって、包まれた手のひらの温かさに、もう反抗はできなくなってた。だって嫌じゃないんだもん。樹くんの体温が有り得ないくらいしっくりきていたんだもん。
久しぶりに、なんか気が抜けてしまったんだもん。
｢こっからがやべーから｣
｢え、まだあるの…？｣
｢ん、ほら見てて｣
｢……やだぁ〜…｣
もうどうにでもなれって樹くんの胸に顔を埋めたら、私の手を握るのとは逆の手で樹くんは私の頭を撫でた。
｢泣いてる？｣
｢映画じゃ泣かない｣
｢でも、怖い？｣
｢…当たり前じゃん｣
｢…あーもう、可愛いなぁ｣
このまま、私は樹くんの猫になってしまいたい。割と本気でそう思う。
だって猫なら、彼女とか妹とか関係なく樹くんの腕の中でいつまでも眠っていられるから。
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sail(プロフ) - ゆらさん» そのように言って頂けてとても嬉しいです。これからの更新もよろしくお願いします！ (2020年12月9日 1時) (
レス) id: 68c0c1ca67 (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - この小説大好きです！更新楽しみにしてます！頑張ってください(^_^) (2020年12月8日 16時) (レス) id: 52075201ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sail
| 作者ホームページ：http://ma-no homepage
作成日時：2020年11月23日 20時
