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｢嘘だろ？｣
そう言った元カレの言葉には初めて共感した。いやだって、嘘だもん。確かに私にはお兄ちゃんがいるけど、この人じゃない。なのに、何？兄ですけどって。
｢証拠見る？｣
｢えっと、｣
｢ほら｣
暖かそうなダウンから財布を取り出したお隣さんは、元彼氏に何かを見せる。そしたらマジかよって言って、元彼氏が1歩引く。
お隣さんの背中の後ろからチラリと見えたのは免許証。お隣さんが見せたかったのは、きっとそこに記載された名前。そこで思い出した。お隣さんの名前を。それは全国名字ランキング第4位のそれ。
｢タナカジュリ。Aと同じタナカでしょ？｣
｢ほんとにAのお兄さん…？｣
｢うん。だからさ、俺の妹傷つけないでよ｣
血の繋がりなんて無いのに、この瞬間だけはこの人が私の兄だと思った。背中に庇われて、ずっと緊張してた強ばりが解ける。
気付いたら目の前のダウンの裾を握っていた。
助けて、お兄ちゃんって。
｢ほら、Aもこう言ってることだし帰ってくんね？｣
｢俺は、諦めませんから…｣
｢往生際悪いねえ〜｣
｢また来ます｣
もう二度と顔も見たくない元彼氏は、そんな宣言をして去っていった。また来るって怖い。でも、とりあえず帰ってくれて良かった。
｢もう行ったよ？｣
｢へ、あ、｣
｢怖かったなあ？｣
振り向いたその顔はあんまりにも優しくて、恐怖により溜まっていたものがポロリと零れる。
｢こ、こわかったあ〜…｣
｢おー、よしよし｣
｢あいつほんとにしつこい〜…｣
｢そうだよなあ｣
ポンポンって髪を撫でてくれる手つきはお兄ちゃんのそれと一緒だった。だから余計に涙が溢れてる止まらない。
｢とりあえずさ、寒いし家入んね？｣
｢はい…｣
｢じゃあ、Aちゃんの家居れて？｣
｢はい…？｣
｢だって俺ら、今日から兄妹でしょ？｣
｢……うん｣
良いようにされてる？でももうそんなのわかんない。
安心によりぽーっとした頭ではもう何も考えられなくて、気付いたら家のドアの鍵を開けていた。
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sail(プロフ) - ゆらさん» そのように言って頂けてとても嬉しいです。これからの更新もよろしくお願いします！ (2020年12月9日 1時) (
レス) id: 68c0c1ca67 (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - この小説大好きです！更新楽しみにしてます！頑張ってください(^_^) (2020年12月8日 16時) (レス) id: 52075201ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sail
| 作者ホームページ：http://ma-no homepage
作成日時：2020年11月23日 20時
