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ぐいっと腕を引かれたせいで私は松村くんの背中の後ろへ。田中くんの顔が見えなくなった。
｢北斗さん…？｣
｢…うるせえ｣
｢おじゃま虫は消える？｣
｢頼む、行くな｣
｢いやいやいや？｣
どこか笑いを堪える田中くんの声と、急に小さな松村くんの声。二人の顔は見えないけど、何となく想像はつく気がする。
｢北斗ってそうなるんだな？｣
｢忘れてくれ…｣
｢なんだ、もうめっちゃ好きじゃん｣
｢…好きだよ、悪いかよ｣
こんな至近距離に居るからもちろん会話は聞こえちゃってるんだけど、今すぐ逃げ出したい。だってもう何かこれ、
｢いやもう告ってんじゃん｣
心に浮かんだ言葉は田中くんが言ってくれた。でもどくどくと脈打つ心臓は止まらない。気になってるとか、いいなって思ってるとかは言われてたけど、好きってワードは初めて聞いたから。
やばい、顔が熱すぎる。松村くんの後ろに隠れててよかった。きっと赤くなってるであろう顔を見られるのはヤバい。
｢告ってねえよ｣
｢おま、無理あるって…｣
｢正式にはこれからだし｣
｢そういうシステム？｣
田中くんの声にはもうからかいの響きはなくて純粋に驚いてるみたい。でも1番驚いてるのは私だからね？二人して私を無視して話してるけど、私居るからね？！
もうどうすればここから逃れられるのかって途方にくれてたら、救世主は唐突に現れた。さっきの松村くんと同じく購買のビニールをぶら下げた奈々。私を見つけて駆け寄ってくる。
｢ちょっとA〜どこ行ったかと、思った…？｣
奈々は、私達の状況を見て一瞬驚いた顔をした。でもそんなのお構いなしに、松村くんの背中から抜け出した私は奈々の手を取って走り出す。
｢あ、おい｣
｢Aちゃん｣
松村くんも田中くんも無視して走ったら、何気に注目を浴びちゃって困った。私は平穏に暮らしたいのに、皆見ないでって思う。でも、今1番困ってるのはそれじゃないんだ。
私、松村くんに好きって言われて嬉しかった。
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sail(プロフ) - ゆらさん» そのように言って頂けてとても嬉しいです。これからの更新もよろしくお願いします！ (2020年12月9日 1時) (
レス) id: 68c0c1ca67 (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - この小説大好きです！更新楽しみにしてます！頑張ってください(^_^) (2020年12月8日 16時) (レス) id: 52075201ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sail
| 作者ホームページ：http://ma-no homepage
作成日時：2020年11月23日 20時
