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結局、何？って聞いても、何も言わずに北斗はスタスタと通り過ぎてしまってよく分からなかった。
そういえば最近の彼は機嫌が悪いのだ。あんま口を聞いてくれないし、いつものツンツンなのかなって思ってたけど違うのかな。
｢やば、長谷川さん、授業始まるよ｣
｢ほんとだ、準備しなきゃ｣
北斗のせいで一瞬ぼんやりしてしまったが、高地くんの声で我に返る。私たちにはまだ、授業が残っているのだ。
｢じゃあ、田中くん頑張ってね｣
｢はーい、ご褒美のために頑張る〜｣
｢そんなこと言わないで、勉強しなさい｣
わちゃわちゃと言い合いながら自習室を出る。次の授業をしようと思って講師室に向かう中、高地くんがちょっと迷ったように話しかけてきた。
｢あのさ、長谷川さん｣
｢どした？｣
｢北斗のことなんだけど、｣
｢あー、最近あいつ機嫌悪いよねえ｣
授業後はいつも通り毎日一緒にご飯に行く癖に口数も少ないし。高地くんも北斗と仲良いし、心配してるのかな。
なんて考えていると、授業の用意をしながら高地くんが思い切った顔をして口を開く。
｢それなんだけど、たぶんそれ、長谷川さんにしか直せないと思う｣
｢え、なんでよ｣
｢なんでもだよ、でも長谷川さんじゃないと駄目なんだよ｣
何、それ。私が1番北斗に冷たくされてるのに無理じゃん。と思うけど、高地くんの目があまりにも真剣で何も言えない。
｢とにかく、1回北斗と話してやって？｣
｢…毎日ふたりでご飯食べてるよ｣
｢そーじゃなくて、聞いてやってってこと｣
｢わかった、けど…｣
何を聞くのよ。という言葉は授業の始まりのチャイムに掻き消されてしまった。
そして、時はあっという間に流れて授業が終わり、いつもの北斗とのご飯。
｢北斗、なんか機嫌悪い？｣
｢…別に｣
あからさまに機嫌の悪い顔でパスタを頬張る後輩は、低い声で言う。
いやいや絶対なんか怒ってるじゃん。
だって、顔が怖い。
高地くんが言うから聞いてみたけど、もう心が折れそう。
｢あ、今日ね、田中くんめっちゃ文法できたの｣
｢へえ｣
｢自習室も使ってたんだよ〜えらい〜｣
｢良かったっすね｣
気のない返事。しかも、いつもタメ口の癖に敬語使ってくる。こっちは気を使って話しかけてるのにさ、数日前からずっとこんな感じなんだもん。
何よ、私に怒ってるの？でも、ご飯はいつも通り一緒に食べるじゃない。北斗の考えてること、ほんとわかんない。
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sail(プロフ) - ゆーみんさん» コメントありがとうございます！キュンキュンがお届けできて嬉しいです！ (2020年11月29日 16時) (
レス) id: 68c0c1ca67 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみん - めっちゃキュンキュンしました！ (2020年11月29日 15時) (レス) id: 505bb2abee (このIDを非表示/違反報告)
sail(プロフ) - 早瀬さん» タイトルの意味にまで気付いていただけてとても嬉しいです。これからもよろしくお願いいたします！ (2020年11月13日 13時) (レス) id: 68c0c1ca67 (このIDを非表示/違反報告)
早瀬(プロフ) - 完結おめでとうございます！最初は間違いなく樹の目線だったタイトルが、最後の最後で長谷川先生のタイトルになったこと、お洒落すぎました。素敵なお話をありがとうございました。次回作も楽しみにしています！ (2020年11月13日 10時) (レス) id: d923da9d53 (このIDを非表示/違反報告)
sail(プロフ) - 早瀬さん» コメントありがとうございます。想いあってたのにすれ違った2人を書いていて、私も切なくなりました、、、これからも更新頑張ります！ありがとうございます！ (2020年11月5日 19時) (レス) id: 68c0c1ca67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sail
| 作者ホームページ：http://ma-no homepage
作成日時：2020年10月23日 11時
