記憶と彼女の名。byハルカ ページ40
・・・またか。
また、この夢だ。
見渡す限りの暗闇、生命の気配はない。
本当にここはどこだ？
『やぁ、また会ったね。』
「・・・。」
この前と同じ女性だ。
二回も俺の夢に現れるなんて・・・。
『ここは君の夢じゃないよ。』
・・・あぁ、まただ。この人には俺の考えていることが全てわかってしまうんだ。
「･･･ならばここはどこなんですか？」
『そうだな･･･』
女性は考える素振りを見せた。
『ここは私の作った空間･･･とでも言っておこう。』
「貴方の作った空間･･･？貴方は一体何者なんですか？」
『私の名は･･･レイン。何者かは答えられない。』
「･･･。」
『ただ･･･君は私のことをよく知っている筈だよ。』
「どういうことですか･･･？」
『自分で考えてみるんだね。』
･･･考えて分からないから聞いてるんですが。
それにしても･･･俺が彼女のことをよく知っているだと？
『そう、君と私は幼い時からずっと一緒にいた。いわば姉妹のような存在だ。』
「･･･理解不能。俺は貴方を今まで見たことすらなかった。」
『そうだろうね。君は私という存在を否定し、記憶から抹消したのだから。』
記憶から･･･抹消？！
レインさんは俺の過去を知っているのか･･･？
『ああ、知っている。君は自分の記憶がなくなった理由を知っているかい？』
「･･･知りません。貴方は知っているのですか？」
『もちろんさ。君の記憶は君が自発的に消した。ある禁忌と一緒にね。』
「禁忌･･･？」
『そう。記憶を消すときに近くにいた君の姉の記憶も一緒に
消してしまったみたいだけどね。』
「そん･･･な･･･。」
『まぁ、記憶を取り戻せるかどうかは君次第だよ。』
「俺次第･･･？」
『そうだよ。君がこの世界であの船の者達を信用し、真実を知る覚悟を
もてたら記憶を取り戻す方法を教えよう。』
「･･･それができなかったら？」
『君は記憶を取り戻せない。そのうえ･･･君の姉は消滅する。』
「な･･･姉さんが･･･しょう･･･めつ？」
『これは本当のことだよ。･･･また時間だ。』
「待ってください！俺はまだ･･･！」
『また今度、話そう。』
そんな･･･聞きたいことがたくさんあるのに･･･！
ヤバイ･･･視界がぼやけて･･･。
クソ･･･今度こそ･･･。
『早く本当の君と会いたいよ、ハルカ。』
痛いんだよ、クソマリモ･･･。byハルカ→←昼寝しなよ！byチナツ
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作者名：黒影（元馬田はるか） | 作成日時：2014年1月12日 22時
