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123話 今夜22時 ページ6

「どうしたの玲王。なんかあったの?」

安心も束の間。

そう言って笑ったAの顔にはあどけなさの欠片すらなく、糸で左右に引っ張ったような無理矢理口角を上げた歪な笑みを貼り付けていた。

必死に平然を装っている正常ではないその姿に嫌な考えが脳裏をよぎった。

「いや、その……」

直接的なことは言えず、ふと目に入ったAの赤い目尻と口端のサージカルテープの存在に気づきながらもあえて見えないフリをしてそれとなく尋ねる。

「最近来てないから、心配になってさ。一応、連絡したんだけど……」

少し驚いたような顔をした後、Aはいつもの調子の声で返してきたが、違和感があった。

「うっそ、ごめん!ちょっと忙しくて見れてなくて」

「なんかあんの?」

Aは一瞬、ぎこちなさそうに視線を落とした。

「俺、引っ越すことになって」

途端、全身に鉄枷をつけられた重みがのしかかった。

忙しいにしても何一つ俺に伝えなかったことに対する疑心よりも、行かないでほしいと思う抵抗感よりも、肉付けられた考えが頭を離れなかった。


何かしら揉めてAが手を出した。


全てを聞いたわけではないし、事実かどうかさえもわからない。

自分でも馬鹿らしいと思ったが、もしかしたらこれが原因でAが転居するのではないかと気が気でなかった。

「A、何かあった?」

完全なる憶測の塊。
早とちりも甚だしい。

探るような言動にAは分が悪そうに少し荒れた唇を震わせた。

何かに耐えるような引き攣った声だった。

「……玲王も俺が悪いと思う?」

「え?」

「先にやったのは真宮なんだ。だって俺は……」

悪くない、弱々しくそう言ってAは力なく蹲った。

「やめたくない。だって、おれ、やりたいことまだ、できてない」

小刻みに震える肩が痛々しかった。

無知に等しい俺は蹲ったAに駆け寄って背中を撫でてやることしかできなかった。

「……何があった?」

「あのとき、おれ、あいつのこと、おとして……もうやめろって、いわれて……」

断片的な言葉ばかりではっきりとはわからなかったが言わんとすることは何となく察することができた。

「A?」

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モヨモヨ(プロフ) - 簡潔おめでとうございます!!!マジですきだ!!きまさんの文でしか得られない栄養が、ある。言葉選びが毎度素敵だし、なにより表現のしかたがドストライクすぎる。すき 小説を書いてくれてありがとう。きまさんも小説も大好きだ……更新お疲れ様でした! (1月3日 1時) (レス) @page48 id: 3d85c557d8 (このIDを非表示/違反報告)
コン(プロフ) - 初コメ失礼します!完結おめでとうございます!!主人公と凛ちゃんの関係の移り変わり方が好きすぎて何回も読み返しました。ずっとドキドキしながら読んでいました!本当に大好きな作品です!完結したのは正直悲しいですが素敵な作品をありがとうございました!! (12月31日 20時) (レス) id: 367d94bba3 (このIDを非表示/違反報告)
にんじゅん(プロフ) - はじめまして、初めてコメントします。貴方様の書く凛と男主の関係性がものすごく大好きです。男主くんの掴めそうで掴めない距離感のもどかしさだったり、凛のほろ苦い心情が読んでいて「はぁ〜っ……!」とキュンとします。これからも続きを楽しみにしております。 (6月30日 22時) (レス) id: 9723d369eb (このIDを非表示/違反報告)
殺痲(キルマ)(プロフ) - リアムさん» コメントありがとうございます!個人的に凛ちゃんさんを書くの苦手なので続きが気になる展開にできて嬉しゅうございます!ぶっ倒れない程度に更新頑張ります!! (6月18日 19時) (レス) id: 57b9dc3a01 (このIDを非表示/違反報告)
リアム(プロフ) - 凛!一体どうしたんだ〜!続きが気になるので、楽しみにしています!無理のない範囲で更新頑張ってください! (6月17日 9時) (レス) @page32 id: 5aa1bb0c09 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:殺痲(キルマ) | 作成日時:2023年4月12日 22時

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