67話 メイドとチャイナ ページ39
スマホから目を離すと凛が戻ってきた。
厚底の靴を履いているせいかいつもより威圧感がある。
よくあなたのサイズに合うものがありましたね。
「……?」
少し凛の様子がおかしいので不思議に思っていると、どこからともなく先程、凛と話していた女生徒が現れる。
「よかったー!!他の男子が生徒会の仕事で参加できなくなっちゃってさ。助かるよAくん」
「え?え、えっと、何の話……?」
「え?だって糸師くんがどうしてもここで手伝いしたいって懇願してるやつがいるって言ってたから」
「はい???」
凛の方を見るが、顔を逸らされる。
おい。なんで今思いっきり顔逸らした。
「え、いや、ちょ待っ」
__________
数分後、意気消沈したAが教室に戻ってくる。
「お前許さねえからなマジで」
死んだ魚の目をしたAの服装はいつもの着慣れた制服ではなくノースリーブの白いチャイナ服だった。もちろん女物である。
生きている中では絶対に履く機会がないであろう黒のハイヒールを履かされて、おまけに前髪は可愛らしいパンダのヘアピンで留られている。
凛と同じハート型のネームプレートには丸文字でAと書かれていた。
見るに堪えない自分の無惨な姿にAは絶望する。
話によると来るはずだった生徒が生徒会の仕事で急に来れなくなり、深刻な人手不足で人を欲していたらしい。
そこに付け込んで凛が勝手にAを引きずりこんだのか。
そもそもサイズが合うのが怖い。
メイド服を着た凛が鼻で笑う。
「似合ってんじゃねえか。A」
「ほんとやだ。しにたい」
「Aくんって意外と筋肉あんだね〜。衣装腕すら通らなかったから笑っちゃった。それにしてもスタイルよくてびっくり!モデルできんじゃない?」
「え、え〜?俺そんなスタイルよくないよ……。顔もよくないし……」
満更でもなさそうな顔でAは言う。
複雑ではあるが女子に容姿を褒められ、顔がほんのり赤く染まった。
凛はそれを見て面白くなさそうに舌打ちする。
「何ニヤついてんだよ、気色悪い」
「なっ!!ニヤついてなんか___ねえ、あの人またこっち睨んでんだけど」
Aの目線の先にはこの前ここに来たときと同じように睨んでいる生徒がいた。
恨めしそうにこちらを睨みながら狂ったように皿を拭いている。
「俺……やっぱなんかしたんかな……」
「頭のネジ外れてるだけだろ」
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殺痲(キルマ)(プロフ) - 由良の門をさん» コメントありがとうございます!彼は人の間に入ってもみくちゃにされるのが得意なのでもしかしたら今後サンドバッグとして活躍するかもしれません笑 (6月5日 9時) (レス) id: 57b9dc3a01 (このIDを非表示/違反報告)
由良の門を - モブ男かわいいです笑笑彼の活躍を期待してる自分がいる (6月1日 22時) (レス) @page9 id: 2f071b2218 (このIDを非表示/違反報告)
殺痲(キルマ)(プロフ) - ねぎさん» コメントありがとうございます!新しい何かがほしいと思い爆誕したのがモブ夫でした…。キルマの作品オリキャラが出しゃばってくることが多いので楽しんで頂けて何よりです!モブ夫の活躍に乞うご期待ですね! (2023年4月9日 12時) (レス) id: 6f6fe81f90 (このIDを非表示/違反報告)
ねぎ(プロフ) - モブ夫を待ってる自分がいる、、笑。あひょ本も最高でした!笑 (2023年4月9日 3時) (レス) @page50 id: 37620205ea (このIDを非表示/違反報告)
殺痲(キルマ)(プロフ) - 龍さん» コメントありがとうございます!玲王のやつはちょっと心配だったので気に入ってもらえて嬉しいです🥰応援ありがとうございます!! (2023年3月6日 21時) (レス) id: ff5faac6c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:殺痲(キルマ) | 作成日時:2023年2月9日 18時