糸師凛、勉強はレッドカード【2】

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メイド服に身を包んだ凛を哀れむかのようにまじまじと見た。

膝より上のフリルが盛られたミニスカートからは、ほどよく筋肉がついた細い足が伸びている。

胸の右あたりにあるハート型のネームプレートには可愛らしい丸文字で「りんてゃ」と書かれている。

そりゃ見られたくないよな、こんな姿。

まさか凛が自分から立候補してメイド服を着るとは思えないので、凛の容姿良さを知っている女子が強制的にやらせたのだろう。

女子は集団になると何をしでかすかわからない。

故に恐ろしい。

凛が来るなと言っていた理由がようやくわかった。

可愛らしいメイド服とアンバランスな険しい顔をした凛を見てAは思う。

そして恐怖心が薄れて、次第におかしさがこみあがってきた。

堪えきれなくなったAはついに吹き出す。

「なんちゅー格好してんのさ！！やば！！似合ってるよ！！ブフッ、りんてゃ」

「ふざけんな」

凛は持っていた銀の盆でAの頭を殴った。

Aは痛みと笑いから若干、涙目になる。

「ねえ、これチェキとかあんの？」

「あってたまるか」

「あったら撮りてえな」

「喧嘩売ってんのか」

「怒んなってば〜。似合ってますよ〜お兄さん。あのさ、ナンバーマッチングのやつ行こうぜ。あれ早くやんないと締め切っちゃう」

「俺にこの格好で歩けっていうのか」

「それしかなくない？だって間に合わないもん。いつ空いてる？」

「……待ってろ」

Aは小さくガッツポーズを決めた。

Aに背を向け、凛は女生徒に話しかけ何やら話している。

Aは上機嫌にスマホをいじりだした。

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