60話 はいチーズ ページ31
本当に顔に拳がめり込みそうになったとき、鼓膜を揺らすほど大きな音が鳴り、夜の暗い色で包まれていた周りは鮮やかな色に染まった。
「おっ、始まった！！」
胸ぐらを掴んでいる凛の手を離れさせる。
Aは立ち上がって次々に咲く花火を見た。
「やっぱ綺麗だなー……」
たかが炎色反応、と言ったのは撤回しよう。
単純に凛と同じ考えなのも嫌だし。
「今年こそは、彼女作るよ。俺＿＿＿おい、今鼻で笑いやがったな？」
「何の宣言だよ。くだらねえ」
「いーじゃん！よく言うでしょ、貪欲であれって」
凛は肩をすぼめて無視した。
億劫そうにベンチから立ち上がり、Aの隣に立つ。
「花火見るの何気に久しぶりかも。凛って子供の頃に祭りとか行ったりしてた？冴さんと一緒に」
凛の地雷である冴の名前を出し、花火の色に照らされた顔に青筋が浮いた。
「あ？」
「すごい怒りよう」
切り出したのは自分だが、このままではさすがにまずいと思ったのか思い出したかのようにスマホを取り出す。
「ねね、写真撮ろうぜ。思い出作りに」
花火に背を向けて凛の方に寄るが、凛は嫌がってカメラワークから外れた。
このままでは埒が明かないので凛の肩に腕を回し、無理矢理自分の方へ引き寄せる。
「おい離せ。暑苦しい」
「やだ。花火バックにして写真撮るだけだから！なっ？」
凛に回している手からフライドポテトの紙コップが落ちそうになるのを堪えてスマホのカメラを構える。
「ほらこっち向いて凛！」
「だから離せよ」
「はいチー＿＿＿あ！？俺のポテト！！」
鮮やかな光と大きな音と同時にシャッターを押せたものの、それと引き換えのように最後の一本であったフライドポテトを凛に食われ、Aは愕然とした。
喉仏がはっきりした白い喉が上下する。
Aは思わず回していた腕を離した。
「さっ……最後の一本が……」
「いいだろ別に。写真撮らせてやったんだから」
「絶対ちゃんと撮れてねえって。うわっ、写真写りよすぎだろ……」
人は写真に写る自分の姿を不細工だと感じるらしいが、凛は例外らしい。
一体どんな塩基配列をしてるんだ、コイツは。
「イケメン滅ぶべし……」
「何言ってんだ」
「……とりま写真送っとくわ」
「いらねえよ。そんなの」
「辛辣すぎて逆に笑える」
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殺痲(キルマ)(プロフ) - 由良の門をさん» コメントありがとうございます！彼は人の間に入ってもみくちゃにされるのが得意なのでもしかしたら今後サンドバッグとして活躍するかもしれません笑 (6月5日 9時) (
レス) id: 57b9dc3a01 (このIDを非表示/違反報告)
由良の門を - モブ男かわいいです笑笑彼の活躍を期待してる自分がいる (6月1日 22時) (レス) @page9 id: 2f071b2218 (このIDを非表示/違反報告)
殺痲(キルマ)(プロフ) - ねぎさん» コメントありがとうございます！新しい何かがほしいと思い爆誕したのがモブ夫でした…。キルマの作品オリキャラが出しゃばってくることが多いので楽しんで頂けて何よりです！モブ夫の活躍に乞うご期待ですね！ (2023年4月9日 12時) (レス) id: 6f6fe81f90 (このIDを非表示/違反報告)
ねぎ(プロフ) - モブ夫を待ってる自分がいる、、笑。あひょ本も最高でした！笑 (2023年4月9日 3時) (レス) @page50 id: 37620205ea (このIDを非表示/違反報告)
殺痲(キルマ)(プロフ) - 龍さん» コメントありがとうございます！玲王のやつはちょっと心配だったので気に入ってもらえて嬉しいです🥰応援ありがとうございます！！ (2023年3月6日 21時) (レス) id: ff5faac6c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：殺痲(キルマ) | 作成日時：2023年2月9日 18時
