49話 チョコボンボン ページ19
板書された筆圧が濃い文字をノートに写していく。
途中でシャーペンの芯が切れ、新しい芯を詰め替えているとどこか上機嫌な玲王が視界に映った。
「真面目だよなあ、お前って」
「これくらいしかできないからね」
玲王はいつものようにAの隣に座る。
Aの視線は黒板に向いているが、刺すような視線を感じ、ばれない程度に玲王を横目に見れば、じっとこちらを見ている。
頃合いを見計らっているのかそわそわと落ち着かぬ様子で穴があきそうなくらい見ている。
言いたいことがあればさっさと言えばいいのに。
「さっきからなんだよ〜。じろじろ見ちゃってさ」
茶化すように言えば、待ってましたと言わんばかりに顔を明るくし、綺麗に装飾された箱を渡す。
「ほら、バレンタインのチョコ。ちょっと遅れたけど」
「あらやだ嬉しい〜」
柄にもなく裏声を出し、遠慮なくもらおうと伸ばした手を停止させた。
玲王の性格上、さぞかし多くのチョコレートをもらっただろう。
そこは何となく想像がつく。
だって玲王だから。
それを踏まえて考えるとこのチョコレートは「俺めっちゃチョコもらって食いきれねえからやるよ。どうせ一つももらってないんだろ?」的な嫌味が含まれているのではないのだろうか。
玲王に聞いたわけでもないのに勝手な想像で苛立ちを覚えたAは恨めしそうに玲王を睨む。
「この野郎……ちょっと多くチョコもらったからって下に見やがって……。食べきれないからやるよ〜ってか……」
「いや違うわアホ。お前勉強以外のことになるとIQ3くらいに下がるの何なの?」
「……本当に余り物を寄こしてるわけじゃねえんだな?」
「俺がそんなことするやつに見える?」
「見える」
「……」
即答したAに何も言えず、玲王は咳払いをするとチョコレートが入っているであろう箱をちらつかせる。
「いるの?いらねえの?」
「いります……」
箱に書かれたロゴが高級ブランドとわかったこともあってか、引っ込みかけていた手を伸ばして受け取った。
「ホワイトデー期待してるぜ、A?」
「あ、お返し確定なのね……」
「あたり前じゃん」
「ピエ○ルマルコリーニを三倍返しできる自信が無い。ところでマシュマロいる?スーパーで安かったから買っちゃった」
「この流れでマシュマロは最低すぎる」
562人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
殺痲(キルマ)(プロフ) - 由良の門をさん» コメントありがとうございます!彼は人の間に入ってもみくちゃにされるのが得意なのでもしかしたら今後サンドバッグとして活躍するかもしれません笑 (6月5日 9時) (レス) id: 57b9dc3a01 (このIDを非表示/違反報告)
由良の門を - モブ男かわいいです笑笑彼の活躍を期待してる自分がいる (6月1日 22時) (レス) @page9 id: 2f071b2218 (このIDを非表示/違反報告)
殺痲(キルマ)(プロフ) - ねぎさん» コメントありがとうございます!新しい何かがほしいと思い爆誕したのがモブ夫でした…。キルマの作品オリキャラが出しゃばってくることが多いので楽しんで頂けて何よりです!モブ夫の活躍に乞うご期待ですね! (2023年4月9日 12時) (レス) id: 6f6fe81f90 (このIDを非表示/違反報告)
ねぎ(プロフ) - モブ夫を待ってる自分がいる、、笑。あひょ本も最高でした!笑 (2023年4月9日 3時) (レス) @page50 id: 37620205ea (このIDを非表示/違反報告)
殺痲(キルマ)(プロフ) - 龍さん» コメントありがとうございます!玲王のやつはちょっと心配だったので気に入ってもらえて嬉しいです🥰応援ありがとうございます!! (2023年3月6日 21時) (レス) id: ff5faac6c3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:殺痲(キルマ) | 作成日時:2023年2月9日 18時