糸師凛、勉強はレッドカード【2】

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「えーもらったんだ、チョコ！」

学校からの帰り道、Aははにかみながら先程の出来事を報告する。

よかったじゃん、と潤は肘で小突いた。

Aの顔は緩みに緩みきっている。

「女の子から初めてもらった……」

「誰からもらったん？」

「わかんねえだよ、それが」

「匿名か！」

凛からは「渡してくれと言われた」としか聞いていないので、何組のどのような女子などの詳細な情報はわからない。

だが、わからないからこそ興味がそそられる。

「り……糸師のヤツ渡されても困るからって言って全部断りやがった。贅沢だよな」

「ふーん……。でもさ、糸師って彼女いるくね？」

「え？どゆこと？」

「昨日さ、彼女とデートしてて糸師見たんだよ」

「どこで？」

「洋菓子店だよ。チョコとか結構扱ってる店。真剣そーに選んでてさ。彼女がいるんで受け取りませーん的な」

「へ〜。自分から渡すスタイルか〜。アイツらしくねえな」

そもそも彼女がいるということすら聞いたことないし、仮にあの凛に彼女がいるとしたら信じられない。

ではなぜ洋菓子店にいたのか疑問に思うところはあるが、潤の話は憶測に過ぎないので適当に聞き流した。

49話 チョコボンボン→←・

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