超能力者のクラスメイト【斉Ψ】

自覚 ページ2

振り返ってみると
すれ違ったばかりだったのか
遠ざかっていく女生徒がいた。


セミロングの茶髪。


こいつが例の楠木さんか？


その女は振り向き、小さく手を振る。

勿論、僕にではない。


『おい。鼻の下が伸びてるぞ』


鳥(Aちゃん、
もしかしてオレの事っ！！)


ダメだ。聞いちゃいない。
そして確信した。


手を振ってきたのが楠木Aだ。


変態から聞いた話しか、楠木さんの事を
知らないが裏表があるようには見えない。

変態を見て作り笑顔だったら
僕が直ぐに気付くからな。


まあ、こいつが熱く語るのも分からなくもない。

顔は……悪くないからな。


照橋さん並みなのか、
変態と同じキモ顔の奴がちらほら居る。



＿＿私は完璧な美少女だから！

と、こんな感じで照橋さんが自覚しているんだ。


楠木さんも少なからず自覚しているだろう。


『っ！！』


僕は前を向き、静かに歩を進めた。


鳥「斉木さん、オレが言ってた事
分かりましたでしょ……ってあれ！？

じゃ、じゃあAちゃん、また！
ちょっ、斉木さーん！！」


後ろの声を気にせず考え事をする。


おかしい。
この僕がすれ違いに気付かなかった。

そして、さっき会ってからずっと
楠木さんの心が聞こえなかった。


あいつは一体、何者なんだ。


……いや、ただ単に燃堂並みのバカなのか、
たまたま無心だっただけなのか。



どのみち、僕には関係のない事だ。




＿＿そう、最初は
少し気になっただけの筈だった。

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