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side_hokuto
翌日
樹の引越しの片付けを手伝うためにAの家に来た。
｢ごめんくださーい｣
声をかけると、樹がベランダから身を乗り出して無邪気に手を振る。
樹｢ほーくーとー！こっちこっち！！｣
その横には、Aがいた。
俺が来ることを樹は伝えていなかったのか、とても驚いた顔をしている。
すでに打ち解けた様子の2人に、なぜだろう…少しだけ胸が痛んだ。
｢おぉー、｣
うまく笑顔を作り、2人のいる2階へと上がる。
樹｢えぇー！？お前ら付き合ってんの？！？！｣
樹に俺とAが付き合っていることを伝えると、予想通りの反応。
樹｢初耳なんだけど｣
｢初めて言ったからね｣
樹｢いやいやなんで言ってくんなかったの？俺たち親友だよな？？｣
｢普通に考えて、お前に言うわけないでしょ｣
樹｢どうしてよ｣
めんどくさいやつだな…とは思いつつも、少しは申し訳ない気持ちもある。
今まで俺たちの間に内緒事なんてなかった。
でも、Aだけは…
その気持ちが先走り、自分らしくない強めの口調で言葉が飛び出す。
｢いいか、A。こいつは…樹は、女遊びがひどい、ひどすぎる。幼なじみの俺だからよく知ってる。｣
樹｢ちょいちょい｣
｢樹、とりあえず黙ってて｣
樹｢…｣
｢一週間ごとに違う女性と付き合ってる、しかも別れ方もひどい…｣
Aの少し驚いたような瞳を見つめて訴えた。
そして、ついAの手をぎゅっと握ってしまっていることに気づく。
Aもなぜか正座をして俺の話を聞こうとしてくれていた。
俺はなるべく、察して欲しくなかった。
俺の不安を、心配を。
樹｢待て待て、そこまで言うか？さすがに北斗の彼女に手は出さないぜ？？｣
A｢私も樹を好きにはならないよ｣
樹｢え…｣
樹の｢傷ついた…｣って顔とは反対に、Aはいたって真面目な表情だった。
｢…まぁ、そうだよな…｣
そう、笑って答えた。
でも、
心のどこかでは、まだ……
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作者名：さいか
| 作成日時：2018年10月1日 22時
