47.（side_you~ ページ47
side_you
新学期が始まって早々、
学校の体育館ではバスケの練習試合が行われていた。
日曜日だというのに、
見学席は多くの女子生徒で埋め尽くされていた。
そのほとんどの目的は…
｢｢｢キャー！松村くーん！！｣｣｣
バスケ部のエース、松村北斗。
北斗くんの彼女である私は、
端っこでひっそりと応援する。
樹｢前行かねーの？｣
｢行かない。てか、行けない…怖い｣
一緒に来た樹は、退屈そうに試合を眺めている。
私だって本当は、前の方で応援したい。
でも、"松村北斗ファン"に目をつけられるのが怖い。
てか、もう私は彼女たちからして見れば、
天敵であって、邪魔な存在だろう。
人気者の彼女は辛い…
それは優越感とかじゃなくて、
本当に、私にとっては辛いものだった。
｢｢北斗くーん！！！｣｣
女子生徒たちが名前を叫ぶと、
北斗くんは律儀に手を振ってやる。
｢｢｢｢キャァアアーー！！！｣｣｣｣
その度に上がる悲鳴。
私の気持ちはモヤモヤが募る一方で…
｢私ね、松村くんにお弁当作ってきちゃった！｣
｢ずるーい！私なんてリストバンド作ってあげただけなのに〜！！｣
｢あーぁ、松村くん、早く彼女と別れないかな〜｣
そんな会話が、そこら中から聞こえてくる。
休憩時間になると、
北斗くんの周りには女子生徒の人だかりができる。
彼女たちの手には弁当やらタオルやら、
ありとあらゆるプレゼントが見えた。
北斗｢くれるの？ありがとう｣
それを1つ残らず、きちんと受け取る北斗くん。
耐えられない…
気がつけば私は立ちあがり、
体育館から飛び出していた。
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作者名：さいか
| 作成日時：2018年10月1日 22時
