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38. ページ38

side_juri







Aを無理やり連れてたどり着いたのはゲーセン。


俺は嫌なことがあったら、必ずここに来る。


俺にとっては大切な"逃げ場"。




A「ここ…?」




Aは戸惑いながらも店内に入り、
キョロキョロと周りを見渡す。






いつもの如く、客は少ない…というか、今日は俺らしかいない。





A「…初めて来た……」


「…なんか欲しいもんある?」



俺はくだらない景品しかないクレーンゲームの中を指さす。




Aは少し迷いながらも、
1つのぬいぐるみを見つめていた。




「…これ?」




Aは小さく頷く。





俺はポケットから小銭を取り出し、プレイし始めた。


ぬいぐるみを取るのは初めてで、
少し考えながら順調にアームを動かす。

そして、運良く掴めて1発でゲット出来た。



A「すご…」








「ほい」



ぬいぐるみを渡すと、
Aはそれを嬉しそうに抱きしめた。






…可愛い。





A「ありがと、大事にする」




ふんわりとした笑顔で俺を見つめるA。





反則レベルの可愛さだ。








隣で楽しそうにしているAを見て、
ひとまず安心する。







俺はAの彼氏にはなれないから、
Aを抱きしめて慰めることは出来ない。






だからせめて、


側にいてやりたかった。













帰り道、街灯の明かりも寂しい中2人で歩く。





A「ありがとね、今日」




「俺が付き合わせただけだよ」




そんな建前を言っても、Aは気づいているだろう。


でも、俺だって少しくらいカッコつけたい。






会話を必要としない、穏やかな空気が2人を包み込む。



すると、Aはゆっくりと空を見上げた。


俺もつられて顔を上に向ける。




そこに広がっていたのは、満天の星空。




A「この広い 夜空いっぱい さく星を」



Aは優しく、柔らかい声で歌いだした。



A「ひとつ残らず あなたに あげる」



どこかで聞いたことあるような無いようなその歌を、俺は心で聴くように静かに耳を澄ます。



A「虹にかがやく ガラスに つめて」






"星をひとつ残らず"、か……








Aからそんなことされたら、

俺はきっと嬉しくて死んでしまう。









でも、Aにとっての"あなた"は俺じゃない。







Aにとっての"あなた"は、北斗なんだろ?









.

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設定タグ:SixTONES , 松村北斗 , 田中樹   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:さいか | 作成日時:2018年10月1日 22時

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