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side_you
帰宅後、
私は真っ先に樹の部屋へと向かい、
思いっきりドアを開けた。
｢ただいま！｣
樹｢…お、おかえり｣
樹は驚いたような、若干引いてるような顔だ。
樹の了解など得ずに、
私は迷わず樹の部屋に居座ることにした。
部屋の隅に置かれていた椅子を持って行き、
勉強机でマンガ本を読んでいる樹の横に座る。
樹｢…どうだった？、って聞いてほしの？｣
私は"コクコク"と大きく頷く。
樹｢どうだった？｣
｢楽しかった！！｣
それから、私は今日あったことを全部話した。
楽しかったこと、驚いたこと、北斗くんのこと…
樹は隣でずっと聞いてくれて、すごく居心地が良い。
だから、私は樹になんでも話してしまう…
今日のことをある程度話し尽くしてしまったから、
私の心にポツンと残った愚痴のような、
弱音のようなことすらも。
｢でもさ、今日少し考えたの｣
樹｢何を？｣
｢…なんで私なんだろう……って……
北斗くんってすごくかっこいい、頭も良い…
そんな人の彼女が…私って、なんかおかしくない？｣
樹は黙って、私の話に耳を傾ける。
｢私より可愛くて、頭も良くて…
北斗くんにふさわしい子はたくさんいるのにね｣
自分で言ってて悲しくなる。
でも、こんなこと樹にしか言えなくて、
言葉が溢れ出てしまう。
ついでに涙も溢れ出そうに…
｢ひ、ひたっ！｣
突然の頬の痛み、頬が引っ張られる感覚。
｢ちょ！なにするの！｣
私はなんとか樹の手から逃れた頬をさする。
樹｢ふははっ…！｣
焦る私の様子を見て樹は嬉しそうに笑う。
サイコパスか…？
と、割とガチで疑ってしまいそうになった時、
樹｢お前、笑ってるとそこそこ可愛いよ｣
突然の意外な樹の言葉に、私は言葉が出なかった。
どうやら樹は、
私の口角を上げて笑わせようとしたらしい。
私から顔を背ける樹。
そんな樹の耳がほんのり赤くなっている。
そして私の顔も、少し熱をおびている…気がした。
少し気まずくなった空気を変えるため、
私は樹にお土産のライオンのキーホルダーを渡す。
樹｢…ありがとう……｣
その反応は予想とは遥かにかけ離れていた。
樹なら、｢なんだこれ｣とか言いながら
馬鹿にしてくるかなって思ったのに…
樹は、そのライオンのキーホルダーを
大切そうに握りしめていた。
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作者名：さいか
| 作成日時：2018年10月1日 22時
