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side_juri
帰ってすぐシャワーを浴び、
部屋に戻ろうとAの部屋の前を通った時だった。
｢うっわ…きたねぇ｣
声が漏れてしまうほど、
Aの部屋は散らかっていた。
A｢うるさいなぁ…てか、服くらい着てよ｣
｢まぁまぁ｣
Aはあからさまに嫌そうな顔をしたけど、
俺は気にせず部屋におじゃました。
｢なんでこんなことになってんの？｣
A｢…動物園｣
Aは小さな声で確かにそう言った。
｢え？動物園？？｣
A｢北斗くんと動物園行くんだけど、何着ていいかわかんなくて｣
｢なるほどね｣
どうやら北斗は見事にデートに誘えたらしい。
よかった。
A｢なにがいいと思う？
樹なら北斗くんの好きそうな服わかると思ったんだけど…｣
俺はそこら中に散らばる服を見渡した。
けど…
｢…北斗なら……、なんでもいいんじゃね？｣
A｢え？｣
｢あいつ、あんまり服とか気にしないタイプだし…｣
A｢そう、なの？｣
｢それに、お前が着るならなんでも喜ぶよ｣
そう言って俺は足早にAの部屋から出た。
自分の部屋に戻り、俺はさっきの言葉を振り返る。
嘘だ。
俺は知ってる。
北斗はふわふわしたスカートが好き。
北斗はけっこう服にはこだわるタイプだ。
知ってるのに…言わなかった。
2人のデートを俺が1番応援してる…と、思ってたのに。
心の中の"なにか"が、それを邪魔する。
｢嫉妬…｣
声に出したその言葉は、妙にリアルで、生々しい。
俺は親友の恋人を好きになってしまったのか…？
そこまで、最低な人間になってしまったのか…？
｢ハハハ…まさか｣
怖い…
気づき始めてしまいそうなその感情を、
どう抑えればいいのか、俺は知らないから。
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作者名：さいか
| 作成日時：2018年10月1日 22時
