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side_juri
俺とAはくだらない話で盛り上がる。
その中でも、
門限は冗談だったという話はすごく驚いた。
Aが冗談を言うまで、
俺に心を開いてくれていることに…
…
しばらく歩くと、コンビニを発見した。
「あ、ちょっと待ってて」
俺はチャリを停め、コンビニへと入る。
レジに直行し、肉まんをひとつ買った。
「はい」
袋から肉まんを取り出し、Aに渡す。
A「なんで?」
Aは肉まんを不思議そうな目で見つめる。
「迎えに来てくれたお礼?
それに、少し寒いっしょ?」
会話の途中、
Aがよく腕をさすっていた事に気づいていた。
A「…ありがと」
「どーいたしまして」
少し照れたような顔をして、
Aは肉まんにかじりつく。
美味しそうに食べるAの横顔に、
胸がキュンとした。
ん…?キュン……??
…いやいや、なわけない。
Aだ、北斗の彼女だ。
俺は絶対、こいつを好きにはならない。
A「樹は?いらないの?」
自問自答を繰り返す俺の心情なんて知らずに、
Aは可愛らしく話しかけてくる。
そんなAの顔を見ると、やっぱり胸が締め付けられるようで…
「んー、腹減ってないし」
と、照れを隠すため、我慢しようと思ったが…
俺の腹は"グゥー"と鳴るのを我慢できなかった。
A「ふふ、素直になりなよ〜」
Aは肉まんを俺の顔の前に差し出す。
間接キス…
なんて、気にしていない様子のA。
少し躊躇したが、俺は肉まんにかじりついた。
「うんめぇ…」
空腹の時の肉まんはうまい…
つい声が漏れてしまうほどに。
ふと隣を見ると、Aも幸せそうな顔で笑っていた。
この笑顔、俺には守る自信がない。
忘れよう、
さっきの胸の高鳴りは…
恋だと勘違いしてしまう前に。
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作者名:さいか | 作成日時:2018年10月1日 22時