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side_juri
現時刻、夜の9:00。
俺はひとり、公園のブランコに座り揺れている。
なぜこんなことになったのか、少し前に溯る…
俺は大して面白みのなかったデートを早々と切り上げ、帰ろうとした。
Aに言われた門限は8時。
ギリギリ間に合わなさそうで、俺は近道っぽい道に入ってしまった。
それが間違いで、見事に道に迷ったのだ。
何も無い田舎道で見つけた唯一の目印、
それがこの公園。
この公園についた時点でもう、8:15。
すでにAとの約束を破ってしまっていた。
どうしようか迷ったが、
Aに助けを求めるという答えしか見つからなかった。
この公園の写メと『ごめん、迷った。』のメッセージを送信…
それが30分前のことだ。
静まり返った公園でひとりきり…
暗闇が俺を不安にさせる。
"カサカサ…"
風に吹かれて揺れる木々が不気味で身をすくめる。
"キー…キー……"
ブランコから出る錆びた鉄の音が異様に耳に残り、
不快に感じる。
｢Aまだかなぁ…｣
不意に口から出た独り言も、
誰にも届かずに消えてしまう。
もしも、この時間が永遠に続いたらどうしよう。
もしも、みんなの世界から俺だけいなくなったら…
誰か気付くのかな？
案外、何も変わらないのかもしれない。
俺がいなくても…
…
｢わぁ！｣
｢うわぁ！！！！｣
俺を"ひとりの世界"から引きずり出したのは、
Aの大声だった。
俺はいつの間にか眠ってしまっていたらしい。
驚きのあまり、ブランコから滑り落ちてしまった。
A｢ごめんごめん…ふふ、｣
Aは悪戯っぽく笑い、手を差し伸べる。
その顔は、今までの俺の不安をかき消した。
｢…ったくもう……｣
Aの手を掴み、起き上がる。
A｢さ、帰ろ。｣
そう言って2人で歩いて家に向かった。
Aが俺を見つけてくれた。
それがとてつもなく…嬉しかった。
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作者名：さいか
| 作成日時：2018年10月1日 22時
