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待ちに待った昼休み、
北斗の机におばさんが作ってくれた弁当を広げた。
北斗｢弁当だ…｣
北斗が俺の弁当を珍しそうな眼差しで見つめている。
それもそのはずで、
俺が弁当を持ってくることは初めてのことだ。
｢あぁ、おばさんが作ってくれてさ……
うわぁ！うまそう！！｣
腹ぺこだったせいもあって、
俺は無我夢中で食らいつく。
｢あ、そういえば、話って何？｣
朝、北斗が俺に何か話そうとしていたことを思い出した。
箸を持つ手を止めずに尋ねる。
北斗｢いや、大したことじゃないんだけどさ…｣
北斗の目はどこか自信なさげで、弱々しかった。
北斗｢デートって、どこに行けばいいの？｣
｢……は？｣
箸が手から落ちてしまいそうになるほど、
脱力してしまった。
デート？こいつら、付き合ってもう1年経つんだよな？
｢お前ら、デートした事ないの？｣
北斗｢放課後一緒に帰ったり…
あ、休みの日に勉強を教えに行ったりするけど｣
｢それはデートなのか？｣
北斗｢…｣
黙り込む北斗は、目で"助けて！"と訴えてくる。
｢まぁ、俺だったら…ゲーセンかな｣
北斗｢Aっぽくない、却下。｣
聞いてきたくせに、生意気な…
｢じゃあ、カラオケ｣
北斗｢俺あんまりカラオケ好きじゃない、却下。｣
めんどくせぇ…
｢…なら、ラブホ｣
北斗｢もういい｣
今のは、俺が悪い。
椅子から立ち上がり、次の授業の準備をしようとする北斗を引留める。
｢じょーだんだよ、じょーだん！｣
北斗は不貞腐れたような顔で椅子に座り直した。
｢もうさ、北斗が行きたいとこに連れていけば？｣
北斗｢え？｣
｢その方が気楽で、お互い楽しめるっしょ｣
これは真面目なアドバイスだ。
北斗は昔から変に考えすぎて失敗することが多い。
それならいっそ、
気楽に考えてしまったほうがいい気がした。
放課後、
教室に来たAにちょっかいを出したり、
北斗にアドバイスをしてやったりしちゃって…
俺も密かに、2人のデートの成功を祈っていた。
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作者名：さいか
| 作成日時：2018年10月1日 22時
