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side_hokuto
放課後、Aが教室まで迎えに来た。
樹となにやら楽しげに話しているAは、
素の表情って感じがした。
｢お待たせ｣
帰り支度を終え、Aの元へ駆け寄る。
A｢じゃあ、またあとで｣
樹｢おう｣
樹と挨拶を交わし、すれ違う際、
樹は俺の耳元でニヤッと笑い、ある一言を呟いた。
…
"デートに誘う"という試練が、
重くのしかかる感じがする。
その事で頭がいっぱいで、帰り道はあまり喋れなかった。
デートに誘うタイミングを掴めず、謎の緊張に襲われる。
言わなきゃ…
意を決して、俺は立ち止まった。
そして、
｢来週の日曜、空いてる？｣
と、声が震えそうなのを抑えながら発した。
かなりの緊張で顔が強ばる。
A｢たぶん、空いてるよ｣
Aのその言葉に、緊張がだいぶ解れた。
図書館か、ショッピングか、遊園地か…
午後の授業中ずっと悩んで、出した答えは…
｢よかった…
もしよかったら、2人で…動物園にでも行かない？｣
1番、無難かなと思い選んだ"動物園"。
初めてのデートの誘い…
付き合って約1年でこれが初めて、というのは少し申し訳なかった。
Aはもしかしたら、ずっと待ってたんじゃないかな。
もっと早く、行動していればよかった…
なんてことを考えながら、Aの返事を待つ。
A｢いいよ、行きたい！｣
Aの顔は照れたような、
喜んでいるような顔をしていた。
…超絶可愛い。
｢じゃあ…楽しみにしてる｣
俺も嬉しくなり、Aに近寄った。
そしてこれが、もうひとつの試練だ。
『女子は、手を繋ぐだけで喜ぶ…
恋人繋ぎくらいしてやれよ』
それは、さっき樹がつぶやいた俺へのアドバイスだ。
普段は照れくさくて手も繋げない俺が、恋人繋ぎ…
レベルが高い、
でも、Aが喜んでくれるなら…
と、思い切ってAの手を取り指を絡めた。
これが、恋人繋ぎ…
Aは戸惑った顔を見せつつも、握り返す。
受け入れてくれた…
そう思うと、すごく嬉しくて緊張なんてものはどこにもなくなった。
その手を離したくなくて、
少し汗ばみながらも、Aの家に着くまでその手を離さなかった。
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作者名：さいか
| 作成日時：2018年10月1日 22時
