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side_you
｢おかえりなさい、あら…樹くんは？｣
家に帰るとお母さんは夕飯の支度を始めようとしていた。
｢あー、遅くなるから夕飯いらないって｣
お母さん｢あらそう｣
お母さんはそう言って夕飯の支度に戻った。
それから風呂に入り夕飯を済ませ、気がついたらもう8時半になろうとしていた。
樹はやっぱり門限のことは気にしていないようだ。
少しだけ、悲しい。
冗談で言ったことだったけど、少しくらい気にして欲しかったな…
暇だから動物園に行く時の服を選ぼう。
気を取り直し、クローゼットを開け放つ。
なにがいいかな？
外だし、動きやすい方がいいかな…
でもオシャレもしたいなぁ……
動物園デートなんて、もちろん初めてのことで…
何を着ていけばいいのか分かるはずもなかった。
こんな時、北斗くんのことを1番わかってる樹の意見を聞きたい。
｢樹、遅いな…｣
時計を確認しようと携帯を開くと樹からメッセージが来ていた。
それは20分も前に来ていた。
メッセージと共に画像も送られてきている。
画像を開くとそこには、小さな噴水とちょっとした遊具が写っていた。
すぐにその場所は見当がついた。
というのも、ここら辺に公園は1つしかないからだ。
そしてメッセージは、
『ごめん、迷った。』
と、一言。
どうやら、"迎えに来い"ということらしい。
｢はぁ…｣
溜息をつきながら自転車の鍵を手にし、玄関に向かう。
迎えに行かない…なんて選択肢はなく、私は自転車をなるべく早く漕ぐ。
まだ少し肌寒さが残っている5月下旬の夜に、
私はひとりで私のことを待っている樹を探した。
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作者名：さいか
| 作成日時：2018年10月1日 22時
