17.（side_you~ ページ17
side_you
眩しい朝日、鳥のさえずり、そして人の気配……
…ん？人の気配？？
｢おはよ｣
｢うわぁ！！！｣
私から気持ちの良い朝を奪ったのは、樹だった。
樹｢そんな驚くか？｣
なんて言いながら呑気に笑う樹。
｢勝手に入ってこないでよ！
てか、どうやって入ったの？｣
念の為にドアの鍵は閉めていた…とすると……
樹｢ベランダ｣
やはり、そこか。
詰めが甘かった。
はぁ…と、溜息をつきながら起き上がる。
こんなに落ち着かない朝を迎えるのは初めてだ。
樹｢お前、寝顔やばかったぞ｣
｢うっさいなぁ！｣
樹｢こえぇ…、朝飯できたから起こしてやったのに｣
｢余計なお世話｣
そんな口論を続けながら居間に着く。
｢あら、樹くん起こしてくれてありがとね｣
｢さっそく兄妹みたいだな｣
と、嬉しそうな両親を横目に朝食に手をつけた。
いつも通りのシンプルな朝食なのに、
樹｢うんめぇ！！｣
またしても樹はオーバーリアクションだ。
味噌汁がそんなにおいしいか？
樹はあっという間に朝食を平らげ、学校の準備に取り掛かる。
私も少し遅れて制服に着替えた。
樹｢なぁ、北斗と一緒に学校行くの？｣
｢北斗くん朝課外あるから、朝は1人｣
樹｢ふーん｣
支度を終え、そろそろ家を出る時間だった。
｢樹ー！行くよー！｣
玄関から２階にいる樹を呼ぶ。
樹｢え、一緒に登校？｣
驚いたような顔でそんなことを聞かれた。
｢だって、通学路わかんないでしょ？｣
越してきて初めての登校だ。
学校までの道のりを知っているはずがない。
樹｢あ、そっか…｣
樹は｢待ってて！｣と部屋にカバンを取りに戻り、急いで階段を駆け下りた。
『いってきまーす』
そうして2人で学校に向かう。
いつもより騒がしい朝。
これから毎朝こんな感じなのかと思うと、若干のめんどくささを感じた。
でも、少しだけ楽しみに感じている自分もいる。
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作者名：さいか
| 作成日時：2018年10月1日 22時
