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side_you
北斗くんと出会ったのは高校生になってからだ。
たまたま通学路が一緒でお互い"気になる存在"だった……まぁ、北斗くんも同じ気持ちだったってのは付き合ってから知ったんだけど。
それから少しずつ話すようになって、
｢好きです｣
と言ってくれた。
もう１年くらい前のことなのに、あの時のときめきは忘れていない。
北斗くんは私の思ってた以上に完璧な人間だった。
学年トップの成績で、1年生なのにバスケ部のエース、もちろんイケメン。
モテないわけがない。
人気者の彼に学校でも一緒にいることに気が引けてしまった私は、なるべく一緒にいるのはこの下校の時だけにしようとしている。
だから、この時間は私にとって1日で1番大切な時間。
北斗くんとの会話はだいたい彼の話だ。
今読んでいる本の話、部活であったおもしろい話、勉強の話…
｢でさ、そのラジオでね…｣
今日は昨日聞いたラジオの話を楽しそうにしている。
｢それがおもしろくてさぁ……、
あ、また俺ばっかり話しちゃった…｣
｢全然いいよ、北斗くんの話すごくおもしろいから｣
｢そう？…なんか、照れるな｣
嬉しそうに微笑む彼の横顔が、愛おしくてたまらない。
やっぱり私は北斗くんにベタ惚れしてるらしい…。
そうこうしてると、私の家に着いてしまった。
｢じゃあ、また明日｣
そう言って私の頭をクシャクシャっと撫でる。
これが彼なりの"さよなら"の合図らしい。
｢またね｣
私が手を振るとクルっと回り帰って行く。
が、
｢あ、そうだ｣
ん？、なにか言い忘れたのかな？
｢樹のこと、よろしくな｣
｢…え？あぁ、うん……｣
いきなり言われたことに、理解できないまま返事をしてしまった…
じゅ、り……？
誰？
.
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作者名：さいか
| 作成日時：2018年10月1日 22時
